野暮用がてら、精神科へ行って「震え」について相談してきた。
すると、パーキンソン病ではないとのこと。
「本態性振戦」という体質のようなものだそうだ。
取り敢えず薬を処方して貰った。
まぁ、病気ではないということなので一安心。
だが、バイトもあまりお勧めしないと言われてしまった。
「貴女の場合、家で静かに過ごすのが基本です。人前にわざわざ出て手の震えなどで追いつめられるのは非常に良くないです。自宅でできる仕事があれば一番いいのですけどね。今まで自宅での仕事に徹してたじゃないですか」
「自宅での仕事をしながら接客業をしていたことがあるのですが、動きが遅いとかロボットみたいとか言われて笑われていましたね」
「だからそういうことから解放してあげないと。人前に出るのは本当は良くないんですよ。パン屋の仕事も、もしかしたら貴女には難しいのかも知れません」
確かにそれを言われて多少なりともショックを受けたのだが、クビになるまでは続けようかなと思ったりもした。
契約書を見ると、試用期間三ヶ月とある。
そこには、不適正と判断した場合、契約を取りやめることもあると書いてあった。
ポジティブに考えれば、試用期間内に慣れて一人前になれるかも知れない。
トロい私でも、てきぱき作業ができるようになるかも知れない。
仲間達だって、鬼ではないのだから仲間に入れてくれるかも知れない。
ただ、やはり医師の言葉が引っ掛かる。
「貴女には難しいのかも知れません。。。」
医師は今まであらゆることに対して、やり過ごせ!と言う人だった。
その医師がこんなにハッキリ言うなんて、私は驚いた。
そもそも、私は若い頃の延長で、やってみればなんでもできる気がしていた。
しかし、医師の目から感じ取ったことがある。
自分で思っている以上に、自分ができることの範囲は限られているということだ。
ちょっと悲しいけれど、こればかりはしっかり受け止めて、自分にできることを探すしかない。
今は、新作『ロックンローラー』を仕上げることで精一杯かも知れない。
パン屋さんはクビになるまで続けるけどね。
「本態性振戦」の薬は元々血圧を下げるための薬なんだそうだ。
私の血圧は正常なので、それを飲むことによって低血圧になるのだそうだ。
もしかしたら、仕事中に立ち眩みやめまいがあるかも知れないと医師は言っていた。
それはそれで気を付けなさいとのことだった。
でも、震えには効くはずなのでバイトへ行く前に飲むようにとのことだった。
「本態性振戦」は病気ですか?と訊いたのだが、医師は「体質」のようなものだという認識で良いと言っていた。
しかしネットで調べてみたところ、「病気」と書いてある。
まぁ、どちらでもいいのだが、治療が必要ということは病気なのだろう。
いずれにせよ、服薬して様子を見てみることにする。
低血圧の経験が無いので、立ち眩みが怖いけどね。
さてさて今週は忙しい。
美容室、面会、歯医者、通常通り週四日のバイトがある。
美容室も楽しみだし、友達との面会は格別だ。
友達に会えるのを楽しみに、今週は頑張ろう!
それにしても、頑張るって多少の無理をするという意味でもある。
年齢的に衰えを感じるようになってから、頑張ろうと思えば思うほど、できない自分を顧みて鬱々としがちになっていた。
己の限界を痛感するようになってからは、なんだか欲が無くなり、いい意味で人間らしい生活が送れればそれでいいのかなってことも頭をよぎった。
年齢的なものなんだと考えたら楽になることができた。
だって、私のせいではないのだから。
誰にでも起こり得ることなのだから。