nakanakadekinai's diary

単なる日記でもなければ、単なるエッセイでもない

女にとってのいい男の条件とは

色違いのものを二枚、札幌のススキノにある輸入ブランドセレクトショップで買ったワンピース。

シルエットが際どいのと、丈が短いのと、派手すぎるとのことで着させてもらえなくなったのだが、捨てられずに部屋に飾っている。

知り合いに会うのが嫌で逃げるように生きていた割には、派手好きでめちゃくちゃ目立つ格好で街を歩いていた。

矛盾しているのだが、札幌に居た頃は今のようにインスタグラムやブログなどのSNSをやっていなかったので個性を発揮する場所が無かったのである。

ここ三年間くらいはすっかり落ち着いたファッションをするようになったが、心のどこかでは派手だった頃の自分に戻りたいという願望を持っている。

先ず、札幌の冬でさえジーンズなど履かなかった。

とにかくミニスカート、百歩譲ってショートパンツだった。

まぁ、ファッションには流行があるから今はミニなど流行らないのかも知れないが、それなりにスタイルにも自信があったわけだ。

露出を禁止されてから三年間。

最初は女を捨てたような気持ちになった。

こうやって人間はオバサンになって行くのかと、恐怖すら覚えた。

露出はできなくてもスカートは履けるということで、意地になってロングスカートばかり履いている。

ホステスをやっていた頃は、ドレスはほぼ全てがミニだったので、脚が綺麗だと褒められたこともしばしば。

そう、脚だけは自信があったのだ。

この脚は出しておかないと勿体無い、後々絶対に後悔すると思っていた。

だから四十代に入る手前まで惜しげもなく出しておいて本当に良かった。

身長は百五十一センチしかないのだが、自分で言うのもなんだがヒールのよく似合う脚だった。

顔ではなく脚を評価されることも多々あった。

この我が美脚とお別れしなければならない日が来るとは思いもよらなかった。

私は五十代になってもショートパンツやミニスカートを履きこなすカッケー女を目指していたからだ。

露出を止めろと言われた時、人生の方向性を間違えたと思った。

いや、正確には相手を間違えたんだな。

去年か一昨年、男友達に会った時、脚を出せよ!と言われた。

その時私は黒のロングタイトスカートを着ていたのである。

だけど、他人様の前でこの脚を晒す勇気がないと答えた。

 

恐らく男友達は、私の変貌ぶりを見て、最悪な男と一緒になってしまったものだと思っただろう。

自分の女が他の男に取られたくない気持ちはわからなくもない。

しかし、いい男って云うものは女に自信を持たせてあげるものだ。

あんなに堂々と脚を晒していた女が、露出を禁じられたからってここまで自信を失うのは男が悪い。

男友達はそう思ったに違いない。

ごくごく普通の女子学生や主婦がホステスを始めてどんどん綺麗になって行くのは化粧を覚えるからではない。

お客と店の黒服などのスタッフから自信を与えてもらえるからである。

先ず、褒められるということだ。

それだけで女はどんどん綺麗になることができる。

本来ならば、夫は妻を褒めなければならない。

なのにそれができる男は少ないように思う。

小遣い稼ぎに夜の世界に足を踏み入れた女は、自信を与えてもらえる心地良さに酔い、夜の世界に染まっていく。

それは今まで褒めるということをしてこなかった男側の責任である。

哀しいことに、私もこの三年間で誰かから女として褒められるということが激減した。

年齢を重ねたせいだろうか?

いやいや、そうじゃない。

今でも実際に会えば男友達は私のことを褒めてくれるはずなのだ。

しかし、すっかり自信を失くした私はお世辞にしか聞こえなくなってしまっているだろう。

決して褒め上手な男がいい男と言っているわけではない。
自分の女に自信を持たせてあげられる男じゃないとダメだと言っているのだ。

つまり自信を失った女はどんどん後ろ向きになり内向的になる。

自信を取り戻させてくれた男のことはきっと大事にする。

言いたいことは伝わったかな?

 

 

破壊から再生へ

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  • 作者:橋岡 蓮
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  • メディア: 単行本(ソフトカバー)