nakanakadekinai's diary

単なる日記でもなければ、単なるエッセイでもない

自分の至らなさ

人にお会いする用事があって、新宿へ行ってきた。

当然寒いだろうと思ってジャケットの上にロングカーディガンを着て行ったら、死ぬほど暑かった。

汗だくのまま「プロント」に入り、ロイヤルミルクティを注文したのちジャケットまで脱いでしまった。

初めてお会いする方で、めちゃくちゃ緊張していた。

名刺をお渡しするのも忘れていた。

せっかく持って行ったのに。

 

 

およそ三時間くらいお話させて頂いた。

どこからどう見てもアーティストという感じで、私などは始終ビクビクしながら一生懸命話をした。

これがロイヤルミルクティではなく、『にごり酒』だとしたらもう少し緊張は解け、本来の私の一面を出せたかも知れない。

当初、私は新宿で待ち合わせと窺ったので、赤ちょうちんへ行きたかった。

だが、今回は夕方から予定があるからお酒は抜きでということだったので「プラント」にした。

本当はホットコーヒーが飲みたかったのだが、あまりの緊張に手が震えてコーヒーカップが持てる自信がなかったからだ。

結局ロイヤルミルクティも手が震えてこぼすところだったが、カップに蓋が付いていたので免れることができた。

 

 

そんなこんなしているうちに、何もかも忘れて解散の時間になった。

反省したことは、私って相手に対して幸福感を与えられたのだろうかということだ。

私に会えて良かったと思ってもらえたのだろうか。

そういうことばかり気になったまま電車に揺られ、草加駅まで帰ってきてバスに乗った。

帰路に就く間、中上健次の『化粧』を戴いたので読んでいた。

そしてたそがれていた。

なんだか理由のない自己嫌悪と、反省の意を込めて、私は自宅に帰ってきた。

半ドンだった旦那が迎えてくれた。

私の帰りが遅くなると思っていたらしく、お惣菜を買って来てくれていた。

若干不安な気持ちを抱えたまま帰宅した時に、誰かが自分の帰りを待っていてくれるのは有り難いなぁ。

そのように感じた。

それから私の電話は鳴りっぱなし。

勿論、仲間達からである。

それにも安堵を覚えた。

なんだか現実に戻ってきた感じ。

しかし、今日の私を評価してくれる人はどこにもいない。

そのことに、若干の寂しさを覚えた。

とはいえ、私は旦那が買ってきた鶏肉のフライと肉団子のお惣菜をつまみにビール(発泡性②)を飲み、若干の幸福感に包まれた。

お会いした彼にはプレゼントをお渡しした。

もしかしたら袋を開けてたそがれてくれているのではないだろうかと妄想する次第だ。

 

 

トリスでいい気分になった私は、中上健次を読んでいる。

『少年カムイ』のキャンプ動画がYouTubeで流れている。

戴いたベーグルをつまみにチビチビやっている。

そして物想いに耽る。

まぁ、私が何者かはわかってもらえたはずなんだよな。

後はこれからなのかなぁとも思った。

 

 

とにかくめっちゃ緊張して終わった。

そう考えると、私はどんだけ酒の力を借りているのかと思った。

初対面の方と会うのは非常に楽しみでワクワクすることなのだが、自分がちっぽけに感じる瞬間がある。

人前で自分の魅力を存分に出せる人間になれたらいいのに。

まだまだ私にはそれほどのものは備わっていないようだ。

草加駅に降りた時、ちょっと心細くなった。

自分の至らなさについて、情けなくなったのかも知れない。

しかし、初対面では大抵がこうだ。

またお会いできる日が来ることを祈ろう。

 

 

そんなわけで、またトリスを飲んでいる。

三杯目かな。

テレビはね、まだ『少年カムイ』のキャンプ動画が流れている。

あぁ、私って云う女は、女として人間として受け入れてもらえたのだろうか。

そんなことが気になって、眠れそうもない。

と言いながら爆睡するのだが。

人間はとにかく自分を良く見せたがる。

しかし、相手からしたらその人の至らなさが可愛く見えたりするものである。

こういうのは、ある意味賭けでしかないのかも知れない。

私よ、めげるな!