「生きていれば色々あって、辛くない別れなんてないよ!」
そう言って戴いて、少し気持ちが晴れた。
いつまでここにいるかわからないが、普通にしていればいいやとも思えた。
世の中は向こうからもう動き始めているようだ。
というのも、銭湯から上がって携帯電話をチェックしてみたら、義母から着信が入っていた。
速攻でかけ直すと、こういうことだった。
「先日お会いした時に、イクラを渡すの忘れちゃったじゃない」
「そうそう、私もすっかり忘れていて、すみません」
「それでね、二十二日の水曜日だけど、草加駅まで行くから食事でもどう?」
「わぁ、ありがとうございます!草加駅まで来てくれるんですか?」
「えぇ、行きますよ。たまには二人でいいじゃない」
「そうですね。そうしましょう!楽しみにしていますね」
「昼ご飯は、草加駅の博多明太子が美味しい店にしましょうよ」
「わかりました!じゃあ十一時半に」
そう言って電話を切った。
そうか、義母と二人で話をする機会を神様から与えられたのね。
なんだか身の引き締まる想いだ。
ストレートに言うべきか、匂わす程度に留めておくか、悩むところだ。
しかし、こんなチャンスは二度とない。
活かすも殺すも私次第。
さて、困った。
恐らく二時間くらいは話ができると思うから、誤魔化したりしないでじっくり話をしてくるべきだろう。
義母は大そう驚くだろうが、長年女をやっているのだから、勘が働いたのかも知れない。
平日にわざわざ私を呼び出すのだから、義母も私に話したいことがあるのだろう。
こういうことは、実の母親にも相談しておいた方が良さそうだ。
ちょっとした大問題だ。
私は何者からも逃げられないようになっているのである。
これもいわゆる一つの修羅場だ。
淡々と落ち着いて、こういう事情でお別れする方向で考えています、そう言えばいいではないか。
問題なのは、引き留められて、私は上手くかわせるかどうかだ。
だけど、ずっとずっと別れたいと思っていたことくらいは伝えなきゃな。
ね?世の中が向こうから動いてくるっていうのはこういうことなんだよな。
ポジティブに考えたら、今までの苦しみをわかってもらえる大チャンスじゃないか!
この際だから、素直になって自分をさらけ出せるかどうかが鍵。
親戚ぐるみでの修羅場になってしまうのかな。
だとしても、私は構わない。
今までの経緯を正直に伝えるのみだ。
いや、今までのことよりも将来の話だろう。
お互いの理想がまるで違うということが決定打になってしまったのだから。
緊張するが、行ってくるしかない。
自分の中に強い想いがあればあるほど、世の中が勝手に回り始める時がある。
勿論、何度も言っているように思考は現実化するということに尽きる。
目の前にあることに体当たりで、真っ当に生きていれば世の中が味方してくれる。
難関だと思っていることを難なくクリアできるかも知れない。
そんな確信めいたことが、私の中で浮かびつつある。
神様の導きを感じるのだ。
以前、私が離婚に当たって、義母のことを気に掛けていたのを覚えてくれているだろうか?
手紙を書くかどうか、それとも会った方が良いか、などだ。
そんな私に対して訪れたチャンス。
私より口が達者な義母に勝てる自信はないのだが、誠意を持って接すれば伝わるだろう。
まぁ、まだ日にちはあるので、水曜日までに色んな方の意見を聴いて自分なりにまとめて行こう。
旦那に然り、義母に然り、私は口では到底敵わないのだが、突破できるだろうか。
とりあえず、まずは実母に相談だな。
可愛がられているとか、大事にされているとか、まぼろしであればいいのにな。
それとも、事実だった方が、私の自己肯定感は上がるのだろうか。
いずれにせよ、頑張れ、私!!!