nakanakadekinai's diary

単なる日記でもなければ、単なるエッセイでもない

あの日あの時

浅い眠りから覚めた私はセンチメンタル。

心がグラグラ揺れ、今にも泣いてしまいそうでした。

なぜってもう過去になってしまった貴方に抱きしめられる夢を見たからです。

正夢になっても困るのですが、ただの夢だとわかった時、とても寂しかったのです。

そんなことが連日続いたので、気がおかしくなりそうでした。

夢の中では私は安堵と愛情に包まれて幸せでした。

人間の幸せって、こういうことを言うのでしょうか?

でも、貴方と私は過去に戻っても上手くは行かないでしょう。

たとえ、やり直しても上手くは行かないでしょう。

出会って別れる運命にあったのだから。

ただ聴いて欲しいのは、毎朝こんなバッドな気分になっているということなんです。

 

 

降りかかるのは別れの嵐。

だけどそれって、私に価値がないということなのでしょうか?

いや、違うでしょう。

ただステージが切り替わったのだと思いたいのです。

大きな一歩を踏み出した者、脱落していく者、そして消えゆく者。

得たものが大きければ大きいほど、失うものは大きい…。

あれもこれもと欲張るのは良くないと自分に言い聞かせています。

はっきり言ってしまえば貴方を捨てたから、私は大きなものを得ることができました。

あの日あの時、貴方から引き留められたらどうしていたのでしょうか。

泣きながらでも「ここ」へ辿り着いていたのでしょうか。

それとも引き返して抱き合ったでしょうか。

私が見る夢とはそんなジレンマと関係があるような気がしてなりません。

 

 

過去を振り返っても何の意味もないと嘲笑うかも知れませんが、反省すべき点は反省し、今後の参考にしようなどと考えている愚か者でございます。

そんなことをしている内に、美化された想い出だけが蘇り、更に私を苦しめます。

昔からそうなのです。

嫌だったこと、辛かったことは水に流せる特性を持ち合せているのです。

だから、私は貴方のように人を恨むということができません。

かといって、自分のことを信頼し、こよなく愛している次第です。

そんな私のことを貴方はどこまでわかってくれていたかはわかりません。

ただ、嫌いになったりはしないだろうという根拠のない自信があるのです。

私が自分を嫌いにならないように、貴方も私を嫌いにならないと。

だからこそ、未練のようなわけのわからない物体が顔を出すのです。

 

 

いっそのこと、本音を言わせてください。

私の愚かな点を申し上げると、愛と自由の両方が欲しかったのです。

貴方から愛されたいと思いながら、羽ばたきたかったのです。

事実、私は貴方から羽ばたくことに成功しました。

だけど、一段落したと思ったら愛を探し求めている自分がいます。

それは貴方ではないことは重々承知しております。

もしかしたらもう出会っているかも知れないし、まだ出会っていないのかも知れません。

愛なんて言ったら大袈裟かも知れません。

ただ、私は大変欲張りな女なのです。

愛していると言われ、抱きしめられた時、それだけで満足するでしょうか。

なんと、そんな欲深い自分が空恐ろしくなります。

そういえば、貴方はいつも愛していると言って抱きしめてくれましたね。

だけど、それでは私は満足しなかったのですよね。

あぁ、たまに消えていなくなりたいことがあります。

とはいえ、消えていいよと言われたら、これまた消えたくないのです。

消えないでくれと言われたら消えたくなります。

なんて我が儘な人間なのでしょうか。

多かれ少なかれ、誰にでもそんな一面はあると思いたいのですが、貴方は今、どんな心境なのでしょうか?

 

 

人間と人間は、残酷な言葉を浴びせ合い、残酷な別れを繰り返して特別な出会いに辿り着くのでしょう。

私から貴方に愛を囁いたことは一度もなかったように思います。

意地と恐怖が入り混じった、複雑な心境でした。

もう過去の人である貴方に聴いてもらうのはもうこれで最後。

貴方を捨てた私は、出発したいと願っています。