nakanakadekinai's diary

単なる日記でもなければ、単なるエッセイでもない

一歩外に出る

自分の感性が全てだとは思っていない。

似たような感性の者だけが集まってくれたら生き易いのかも知れない。

しかし、人間は千差万別、それぞれが各々の常識を持っている。

だから、疲れるんだと思う。

寂しがり屋の一人好きって私だけではないはず。

自分の常識は通用しないから、萎える。

ただ、社会の中で生きるっていうことは、様々な常識と向き合うことでもある。

例えば、些細なことでへそを曲げる人がいるとする。

それに対して、イライラしてはならない。

放っておけばいいのかも知れないが、なんとなく私から声が掛かるのを待っているようにも見える。

こういう場合、どう対応するかもそれぞれの判断だ。

思いっきり誰かに愚痴ったところで、自己嫌悪に襲われるのが見えている。

一歩外に出ればストレス。

だから篭りがちになるのだ。

 

 

何に癒される?

お花畑でもなくテーマパークでもない。

客同士の背中がぶつかり合うほど狭く、小汚い赤ちょうちん

そりゃ、一流のサービスでおもてなしされれば優雅な気分になれるかも知れない。

しかし決して安い金では済まされない。

どこかの店に入れば店員の態度にキレるような女。

やはり一歩外に出ればストレス。

仲良くしようと思ってみても、常識の違いに打ちのめされる。

結局、住む街や居場所って自分で決めるものなのかも知れないが、どこへいたってそれを感じることはできない。

私の近所の一軒家に住む人々は、アパートの住人に挨拶をしない。

だから一階に住む私は気分が悪く、ずっとカーテンを閉め切っていた。

ここ最近暖かくなってきて、天気も良く、開き直ってカーテンを開けているのだが。

 

 

人間は言葉一つで傷つけ合うもの。

もっと言うならば、しぐさ、目つき、声のトーン、態度で以て傷つけ合っている。

そんな一つ一つに傷ついていたら神経が持たないのだが、極端に不器用な私などは、いちいち傷つく。

私が傷ついた顔を見れば、相手だって嫌な想いをする。

その相手の表情でまた傷つく。

常にビクビクしてしまうのは、その辺に原因がある。

だから、一歩外に出るのが怖いのさ。

意外かも知れないが、お互いにシラフの方が分かり易かったりする、

つまり酒が飲みたくなるのは、その辺にも所以していたりして。

たとえ家の中にいたって外部とは接触があるもの。

電話があり、メールがあり、LINEがあり、ズームがあり、チャットがあり、やはり直接会っていなくても傷つく要因はなんぼでもあるわけで。

人間が酒に走るのには様々な事情があるが、中には繊細ゆえに酒を飲むしかないという人もいるのではないだろうか。

 

 

以前は自分で書いた文章を一歩外に出すのがめちゃくちゃ怖かった。

自分の外見ならまだしも、考えていることを否定されたら生きていけないような気がしたからだ。

だけど、慣れるということはある意味恐ろしいことでもある。

自宅に居ながらパソコンや携帯電話一つで一歩外に出られるのがこの時代。

SNSの時代に生きていなかったら、どうやって一歩外に出ていたのだろうか。

テナントを借りて店をやらなくたって、なんとなく自分の「部屋」を皆に覗いてみてもらうことができる。

そう考えると便利な時代。

一体どれだけ多くの人に出会うことができただろうか。

そんな私は誰かからの電話に喜び、コメントに喜び、LINEに救われたりしている。

人間が怖いのか、人間が好きなのか、どちらなのかはわからない。

目には見えないが、携帯電話の一歩外にいる温もりが伝わってくるようで、肌身離さず持ち歩いているのさ。