カーテンを開けていないので、外が晴れているのか曇っているのかわからない。
ただ、雨音は聞こえないので、穏やかなんだなということだけは把握できる。
前の日に飲んだ電気ブランのせいで、早起きできず。
気づけばもう昼をとっくに過ぎて、モタモタしていたら夕方である。
夜は早く寝たいしゆっくりしたいので、日が暮れる前にこれを書くことにする。
一つも予定がなく、のんびりとしていたが、母の日であった。
ペペロンチーノを作る前にそれに気づき、慌てて母さんに電話をした。
どうやら風邪を引いたらしく、辛そうにしていたので長電話はしなかった。
最近どうなの?メンタルの調子は?
そう訊かれたので、絶好調であると答えた。
「そうなんだ、穏やかでいることも難しいわよね。母さんはいつもザワザワしているわよ」
ザワザワ???
それはどんなに辛いことだろうかと想像した。
もし私だったら、心がザワザワしていたら思い切って誰かの胸に飛び込むだろう。
母さんにはそんなことはできるはずもない。
なぜなら母さんは、若干人間というものに怯えながら生きているからだ。
私はどちらかというとオープンマインド。
ここまで来たら、怖いものなどあまりないとは連日書いている通りだ。
食に飢えることもないだろうし、アパートを追い出されることもないだろう。
世の中はなんとかなるようになっているという能天気さが売りである。
好きな人が離れて行くのは怖いかも知れない。
しかし、私が素直な心で接していれば、きっとそのようなこともないはずだ。
このまま行けば、きっと幸せしか待っていないような錯覚に陥る。
何もかもが上手く行きそうな気がしてならない。
仮に、とんでもない事件が起こったとしても、それは大したことないと思える。
運勢というものには波があって、私は暗黒の時代を生き抜いてきたから、ここからは上がるのみなのである。
私のポリシーはこうだ。
一番は心が穏やかで豊かであること。
目の前にいる人を愛し、許し、抱擁し、包み込むこと。
尊敬し、心配し、尚且つ、気疲れさせないこと。
一緒に美味しいものを食べ、美味しい酒を飲み、色んな話をしていれば心も豊かになる。
二番目はあくせくしないこと。
小説『ロックンローラー』を制作している期間は決して心穏やかではなかった。
日々、〆切りに追われ、時間との闘いだった。
発送手配もなかなか大変なのだが、マイペースで行っている。
つまり、あくせくしなくなったということだ。
眠たい時は寝て、腹が減ったら何か食べ、飲みたきゃ飲む。
そうすることで、自分に優しくなれているような気がする。
同時に、人に対しても優しくなれているのかも。
昔の私に比べて、とても寛大になったように思う。
先にも書いたが、こちらが素直であれば相手も優しくしてくれるからである。
誰にでも寛大になる必要はないが、せめて好きな人には寛大でいないとね。
というのも、誰もが欠点を持っている。
しかし、それは長所の裏返しなのだという着眼点でもって接すれば、許せないことなどないのではないだろうか。
愛というものは、結局はそういうことなのだと思う。
許してなんぼ、はたまた、許されてなんぼ。
もっと言うならば、憧れてなんぼだ。
良いところを褒め、悪い部分を許していると、その人に対する憧れが生まれてくる。
憧れは何者にも代えられない強さを秘めていると思うのは私だけだろうか?
心の中に誰がいて、何を想い、どう生きているのか。
仮にも私がその人の中にいられたら幸せだろうなと思ったりもする。
そんなことを考えながら、心がザワザワしている母さんのことを想うと胸が苦しくなる。
両親が健在であること、離婚していないことは私に安堵をもたらすが、少しでも幸せを感じて欲しいなと思う。
喧嘩両成敗とは言うけどね。
それにしても、私って元旦那ネタを書かなくなったなぁ。
完全に前を向いている証拠なのだが。