nakanakadekinai's diary

単なる日記でもなければ、単なるエッセイでもない

社会なんてこんなもん

職場を出て、トボトボ歩いていたらクラクションが鳴った。

先輩だった。

景品でもらったからと、私に「アメリカンスピリッツ」をくれた。

メンソールではなかったがすこぶる嬉しかったので、信号待ちしている先輩の車に向かって大きく手を振った。

ポケットの中には「ハイライトメンソール」がクシャクシャになって入っていた。

職場近くの煙草屋の灰皿の前で、一服してからバスに乗った。

最寄り駅に辿り着いた私は、スーパーに立ち寄った。

目当てのとろろ蕎麦が無かった。

ラーメンでも茹でようかと思ったのだが、焼鳥と安い赤ワインを買って帰宅した。

水曜日は定休日で、友達と新宿へ焼肉を食べに行く約束をしている。

腹一杯食べてこようと思っている。

いい店があればいいのだが。

 

 

介護の仕事でミーティングがあった。

 

「私達は利用者さんの人生を預かる仕事」

 

要は責任重大だという話だ。

利用者さんやご家族は、現状より良くなることを求めている。

だからリハビリセンターに通っているわけだ。

そのことについては重々わかっているつもりだ。

ただ、ちょっとしたハプニングがあった。

半身麻痺で車椅子に座っている利用者さんの食事介助をしていたら、こっぴどく叱られた。

 

「この方は、ご自分で食べられるのにどうしてアナタが食事介助をするのよ!!!」

 

いやいや、他のスタッフから食事介助してくれと言われたからやっていたのだ。

言われたからやっていたという説明はしたものの、私を叱った先輩の意見はご尤もと感じた。

そこで責任を感じてしまったのだ。

廻り回れば利用者さんのためにならないことをしてしまったと。

思慮が足りなかったなと反省した。

この手のことが一つや二つではない。

叱られて初めて気づくことって多々ある。

そう考えると、叱られることもウェルカムかも知れない。

仕事を覚えるチャンスでもある。

そうやってポジティブに考えることにした。

 

 

私をこっぴどく叱った先輩は、帰り際に少し叱り過ぎたと反省したのかも知れない。

私の入浴介助がいつも時間をオーバーしてしまうことについて、優しくこう言ってくれた。

 

「そのうち慣れるわよ、そうしたら少しずつ短時間で出来るようになるから」

 

その一言に救われて、やっぱ私頑張ろう!と仕切り直して帰ってきた次第である。

帰宅後、バランスボードで体幹レーニングをしてからキンキンに冷えた缶ビールを一本飲んでパソコンに向かった。

この職場は所謂「飲兵衛」が多いので、今頃皆がビールをかっ喰らっているんだろうななどと想像した。

そしていつもの如くミッシェルガンエレファントを鳴らし、ロック魂があれば負けるもんかと自分を叱咤激励した。

 

 

社会なんてこんなもん。

理不尽なこともあり、納得行かない教え方をされ、褒められることもない。

新しく入った大事な存在だとしても、荒々しい物言いが当たり前。

人間のクズと言われないだけまだマシかも知れない。

女失格と言われたわけでもない。

つまり、この程度ならパワハラでもセクハラでもない。

その辺に転がっている日常だ。

だったら耐えられるはずだ。

脳みそあんの?と言われた時は、流石に腹が立ったけどね。

問題は、仕事を覚えるまでの期間である。

覚えてしまえばこっちのもの。

一番大切なのは、利用者さんの目的を最優先すること。

そしてベテランである先輩の気持ちを汲むこと。

私の考えなど所詮は素人目線なのである。

ミッシェルガンエレファントの『キャンディハウス』が我が家に鳴り響く。

まるで私へのエール。

社会で散々揉まれてきた私としては、これ如きでは身を引かない。

ただ、もうちょっと稼ぎたい気持ちはあるのだが。

ドラムとハーモニカが私のテンションを維持してくれる。

チバユウスケのボーカルがそこに乗れば、私などは無敵だと感じる。

私の無敵さとは勝手な思い込みだけどね。