nakanakadekinai's diary

単なる日記でもなければ、単なるエッセイでもない

いつまでも新人ではない

バタクソに疲れて帰ってきた。

スーパーの鮭弁当を半分とビールを一缶、そしてワインを少々啜りながらこれを書いている。

鮭弁当の残り半分は、朝ご飯に取っておこう。

疲れすぎて、呼吸をすることすら苦しい。

リビングの床にぶっ倒れて煙草を吸っていたが、気合いで立ち上がりパソコンの前に戻ってきた。

音楽を鳴らす余裕もないので、無音の静かな部屋で一気に書いてしまうことにする。

これほど疲れていても、熟睡できれば翌日はケロっとしているので、案外タフなのかも知れない。

仕事は体力と頭脳でするものではなく、気力とコツでするもの。

一つ叱られれば一つ覚え、また一つ叱られれば一つ覚える。

その繰り返しで幾分成長してきたようだ。

ところが、私の前に入った先輩が体力的にきついので辞めたいと言い出した。

マジかよ!

彼は一番親しみやすいタイプ。

確かにミスは多い。

その度に先輩方からボロカスに叱られている。

私の比ではない。

それが段々と嫌になってきたようだ。

年齢は還暦間際。

まだまだ若いのだが、私が入ったことによって、更に先輩方から責められる存在になってしまったようだ。

やれやれ、可哀想に。

たまに私に愚痴るのだ。

 

「叱られたら凹むよね~」

「かなり私も凹んでいますよ!」

「でしょでしょ、ただ、利用者さんから叱られたらもっと凹むよ」

「そりゃそうですよね」

 

もしかしたらこの人はよほど辛いのかも知れない。

そう思った私は、送迎のあと、彼に話しかけてみた。

 

「ご自宅では何をつまみに何を飲んでらっしゃるんですか?」

「俺?冷奴に焼酎ソーダ割り!キミは?」

「あ、私はビールと赤ワインです。焼酎の銘柄は?」

 

すると、何やらわけのわからぬ銘柄を言われたので、それは知りませんね、と答えた。

 

「二階堂は?むぎ焼酎。あれは有名でしょ!」

「それなら知っています。私も二階堂は好きですね。お湯割りかロックだけど」

 

ようやく、彼は話に乗ってきたようだ。

 

「炭酸水で割ったら美味いよ!」

「三岳も美味しいですよ。芋焼酎だけど」

「俺はね、芋なら黒霧島だな。三岳も知っているけどね」

 

てな感じで、約二十分ほど酒の話をしまくった。

病院に戻った私どもは、終業ミーティングに参加した。

すると、ミーティングでも彼はボロカスに叱られていた。

そこではっきりとわかってしまった。

そうか、下っ端よりその上が一番叱られる辛い立場なんだと。

それが当たり前なのかも知れないが、今まで私は新人が入ってきて教える立場になってもあまり叱られたことがなかった。

だから気づかなかった。

 

 

自分の良いところと悪いところはその日のうちに分析して把握する必要がある。

私の場合は、苦しんでいる人に声を掛けてあげるのは得意だけど、人に厳しくするのは苦手かも知れない。

それは何故か。

たぶん、自分が人からして欲しいことを人にするからだ。

自分がされて嫌なことは人にはしない。

当たり前かも知れないが、もしかしたら多くの人はその辺をもっと器用に使い分けているのかも知れないと思った。

例えば、自分は嫌われてもいいから仕事を早く覚えてもらうために心を鬼にするとか。

また、こんなことにも気づいてしまった。

今まで私は自分が仕事を覚えるのに精一杯で、あまり教育する立場には立ってこなかった。

仮に私が上の立場に立ったとしても、皆と仲良くやることを優先していた。

教育は完全に人任せにしていたよなってね。

誰かが辞めたら、新しい人が入ってくることになる。

まだたった二ヶ月間の実力しかない私も、教えてあげなければならないことが出てくるかも知れない。

そう考えると、いつまでも新人のポジションにあぐらを掻いているわけにもいかない。

試用期間は三ヶ月とよく言うが、大体三ヶ月も経ったら一通り覚える必要があるよなと思った。

バタクソに疲れている場合でもない。

やれやれ。