いや~、参ったよ。
持病が悪化して、落ちるだけ落ちた。
だが、仕事から帰ってきてトリスハイボールを飲みながら友達と電話していたら少し良くなった。
持病が悪化するとどうなるかと云うと、被害妄想が半端ない。
ヤバい、ヤバい。
こうして仕事へ行けて、パソコンに向かっているのだからまだマシなのだが。
被害妄想は周囲の人に迷惑を掛ける。
だから質が悪いのだ。
実は金曜日は仕事なのだが、北海道から父さんが会いに来ることになっている。
北千住で酒を飲む予定だ。
はるばる出てくるのだから、刺身が美味しい居酒屋を予約した。
どうやら刺身がウリの居酒屋らしい。
父さんは日本酒派なので、刺身居酒屋にした。
北海道に住む父さんからすると、関東の魚は大したことないかも知れないが。
実は母さんとは、六月に一緒に旅行へ行って以来一度も口を利いていない。
決定的なことがあったからだ。
いや、お互いに察したのだろう。
近寄らない方がいいと。
それで父さんに会うことになったのだ。
ウチの家庭事情を話すと長いが、上手く行ってはいない。
しかし、私には家庭環境など関係ない。
知る由もない。
私がくすぶっていることとは、なんら関係のない話だ。
くすぶっていることについては今は悩んでいない。
時期的なものであり、タイミングだと思っているから。
家族に纏わる話でも悩んではいない。
ウチの家族は我関せずだからだ。
そのことについて悲観的になることもない。
金曜日は、ただ、父さんと美味い酒が飲みたいだけだ。
取り敢えず、北千住で美味い居酒屋はないか職場の人に訊きまくった。
ところが、北千住に詳しい人はほとんどいなかった。
だから自分で検索して、良さそうな店を予約した。
店に電話して詳しく話を訊くと、駅から徒歩五分とのことだった。
駅近くの店は、全店予約で埋まっていた。
だから少しばかり離れた店にしたのだ。
ウチの父さんはザックバランな人。
飲み友達にしては最高だ。
しかし、父親としては欠落している。
まぁ、今となってはそんなこともどうだっていいのさ。
それより何より、私のメンタルを立て直すことの方が大切だ。
どうすれば闇から抜け出せるのか、答えが出ない。
いやいや、本当は抜け出したはずなんだ。
だけど、空元気はかえって毒になる。
余計に疲れてしまう。
そんなことしなくたって、止まない雨はないのに。
この場で正直になることにすら、ためらいを感じる。
中には、私の醜い姿に共感してくれる人がいるかも知れない。
良くも悪くも私って女は、自分に正直になることしかできない人間。
やはり温もりが欲しいのか、心の支えが欲しいのか。
鬼になって自分を立て直してみても、足元を誰かに鷲掴みにされたようにガタガタと崩れ落ちる。
ポキポキと骨が折れる音が聞こえる。
背後からザワザワと風が吹く。
そして一筋の涙が零れる。
しかし、遠くには光が見えている。
光はこっちへおいでと手招きしている。
まるで砂浜の上を裸足で歩いているかのように、足はもつれる。
それでも無我夢中で光にすがりつく。
それが私の生き方かも知れない。
父さんとは、特に話すことなどない。
他愛もない話をするだけだ。
母さんの悪口は極力言わない。
不毛だからだ。
願わくば、ろっ骨が折れるほど、誰かに抱きしめられたい。
今は、私にとって忍耐の時期なのだろうか。
こんな時、天は何て言うのだろうか。
天は一人で突き進めと言ったはずだ。
それに従う決意も固めたはずだ。
ところが、良くも悪くも天にすら逆らう私がここにいる。
決断とは、する前の方が圧倒的に辛いもの。
してしまえば、身軽になるもの。
わかっているが、なかなか決断しきれない。
これは優柔不断なのだろうか?
いや、なんだかんだ言って寂しいのだろう。
病む前に、自分を認めればいいのに。