橋岡蓮 ’s diary

単なる日記でもなければ、単なるエッセイでもない

再会を願って

暑い一日だった。

父さんと再び待ち合わせをして、北千住の丸井やルミネで買い物をした。

仕事用のスニーカーとジャンパーを買ってもらった。

これで通勤も楽しめると思い、とても嬉しかった。

ジャンパーは「マウジー」という店のMA-1だ。

カーキ色が欲しかったので、秋が深まるのが待ち遠しい。

ドヤ顔で職場に行ける。

私の著書を読んだ父さんは、明らかに今までと違った。

親子の間に流れる空気も、全然違った。

如何に私が幼少時代悩んでいたか、何故、放浪などしなくちゃならなかったかやっと辻褄が合ったのだろう。

親として反省する部分も多々あったと思う。

太っ腹な父さんは、誇らしげにスニーカーとジャンパーを買ってくれた。

何年着られるかわからないが、本格的な冬が来るまでじっくりと着させてもらおうと思っている。

買い物の後、ルミネの八階にある寿司屋へ入った。

生ビールと「中々」という焼酎のロックを飲んだ。

寿司は、セットものを頼んだのだが、なんと!美味!

回転寿司とは雲泥の差。

私、もう回転寿司へは行けないかも知れない。

だけど、一人でまた北千住へ来ることがあれば、この寿司屋へ来よう。

一人前二千円、茶わん蒸しとみそ汁が付いている。

酒類もリーズナブルだった。

面倒だからと近所の回転寿司で済ませるのではなく、ちょっと足を延ばして美味いものを食べた方が気持ちが明るくなるよなと思った。

ルミネには私の好きなショップが結構入っているので、やはり北千住最高!

職場が西新井なので、仕事帰りに寄ることもできる。

上野はいつでも私を呼んでいるが、北千住も私を待っている。

そう考えたら、良いところに住んでいるのかも知れない。

 

 

帰宅して散らかった部屋を片付けながら思ったことがある。

父さんは「旅行」と言っていたが、私に本の感想を伝えるために東京へ来たのかも知れないとね。

寿司屋では私の仕事の話が主だったが、体を使う仕事なので心配していた。

一人で利用者さんの送迎をし、一人で入浴介助を行っていると話した。

私は持病のため目が不自由なので、運転を物凄く心配していた。

斜視なので物が二重に見えるのだ。

だけど、なんとか運転もできるし、なんとかタイピングもできる。

 

 

夜は弟家族と合流するとのこと。

当然ながら私は呼ばれていない。

目と鼻の先に住んでいるのだが、十年以上に渡って疎遠である。

これも話せば長くなるが、弟は私のことを軽蔑している。

それもあって、姉に会おうとしてくれない。

何故か、両親も姉弟を会わせようとはしないのだ。

これについては半ば諦めている。

父さんとしては、考えることがあるような気もするが。

午前中から買い物したりランチしたりしていたので、十三時には解散になった。

父さんも出張続きだそうで、ちょっと疲れているようだった。

それよりも私がクタクタだった。

やはり幾ら父親とはいえ気を遣うし、前日も仕事に飲みに行ったので疲労が溜まっていたようだ。

ランチの「中々」ロックが効いたのかも知れない。

別れ際、父さんはこう言った。

 

「運転気を付けろよ!」

 

ただそれだけだった。

父さんも男だから照れくさいのもあるのだろう。

目も合わせず、それだけを言って、ホテルに向かって歩いて行った。

 

「ありがとうね!」

 

私はそれだけを言って、北千住駅前の喫煙所へ向かって歩いた。

振り返るまいと思ったが、やはり気になって振り返ってみた時、父さんはもう階段を降りたようだった。

視界の中から父さんは消えていた。

本当はスニーカーやジャンパーは自分で買えば良かったのだ。

しかし、父さんに甘えてみた。

その方が父さんも気持ちが満たされるのではないかと思ったからだ。

父さんが抱えている複雑な気持ちは最後まで消えないようだった。

ただ、私が介護の仕事が楽しいと言ったら笑みを浮かべていた。

次回は一体いつになるかわからないが、なんだか急に寂しくなった気がする。

また会えることを願うのみだ。