久々に月を見た。
あ、月だ!
そういえば私は月と対話しながら生きてきた。
月が見れた時、私は守られている。
見えない時は、必ずまた見れるってね。
そうやって孤独と闘ってきた。
そんな私が皆既月食も見なかったのは何故だろう。
気づけばこの数日間、音楽も聴いていない。
どうしてだろう?
探したけど答えは見つからない。
特にこれといった理由は無い。
ただ、浮ついた気分ではないことは確か。
なんとなく大事な局面にいるようで、立ち止まってよく考えている。
後悔しないようにね。
用事があって都内まで出掛けていた。
地方から東京まで出張で来ているとのことで、会いに行ってきた。
たった数時間しか居られなかったので、羽田空港まで見送った。
帰りはゆっくり帰りたかったので、バスに乗った。
バスの中から必死になって東京タワーを探したが、見つけられなかった。
それでも夜の都内はとても綺麗で、渋滞さえも苦にならなかった。
このまま埼玉に帰るのが何となく勿体無いような気がした。
バスは満席だったが静かで、満員電車とは訳が違った。
電車で帰るより二百円ほど高いが、バスに乗って正解だった。
空港へ行くと、当然ながら飛行機に乗りたくなる。
どこかへ旅に行きたいと思った。
一週間くらい、関東を離れて未知の世界を旅してみたい。
怪我が治って、労災保険が入ったら、計画を立ててもいいかも知れない。
また新鮮な文章が書けることだろう。
旅行なんて、数年前に沖縄へ行った以来だ。
パソコンだけ持って、ふらふらしてもバチは当たらないだろう。
桜が咲く頃、私は何をしているのだろうと考えている。
想像もつかないが、春の訪れは私に幸運をもたらすと思う。
二、三ヶ月なんてあっという間だが、スピード勝負だと思っている。
如何に早く動き、成果を出すか。
やると決めたらとことんやる。
脇目も振らず、孤高のファイターは突っ走る。
震える心は誤魔化さず、時には涙。
それでも笑顔は絶やさない。
負けず嫌いは良い方に転べ。
咳払いをしただけでバス全体に響き渡る静けさ。
そんな中、鼻を啜るのも我慢してこれを書いている。
月が綺麗に見えるのは渋滞のお陰。
帰ったら寝るだけだから、ゆっくり進め。
いつまでも月を眺めていられるのなら、帰らなくてもいい。
アパートの窓から月が見えたらどんなに潤うだろうか。
星空を最後に見たのは遥か昔のこと。
あれ?フェンスが邪魔して月が隠れた。
ダウンジャケットが暑いよ。
酒は要らない、風に当たりたい。
部屋の中で書くのもいいが、バスの静けさで書くのも悪くない。
飛行機もいいが、夜行列車も良さそうだ。
目的地に着くまでずっと書いていたい。
書くなんて知らなかった頃は、酒飲んで朝まで寝て過ごしたものだ。
でも今なら違う。
特別な空間の中で、とにかく湧き出る言葉を無我夢中で書き出す。
そして、読んでくれる人と一緒に異次元にトリップするのだ。
酒のない生活もなかなかいい。
時間が凝縮されて、思考力も冴える。
渋滞?
まだ続いている。