何かが舞い降りてきたように『THE MODS』を聴きまくっている。
元々有名な曲しか知らなかったのだが、クオリティの高さに驚いている。
あっという間にアルバムを四枚ほど聴いてしまった。
Apple Musicで聴いている。
なんて便利な世の中なんだ。
チキンラーメンを食べ、タバコを吸いながら大音量でモッズを聴いていると、タイムスリップしたような感覚に陥る。
やっぱり酒が飲みたい。
音楽との出会いは、人との出会いと少し似ている。
あの人のことは知ってはいたけれど、こんなに素敵な人だとは知らなかったというようにね。
出会いがあるかと思いコンビニへ。
公共料金の支払いついでに缶酎ハイを一本買った。
結局、酒はやめられないではないか。
青空をいくら覗いても雲は見当たらなかった。
夕方に出てくれば夕陽が見れたのにと思った。
私が求めているのは能天気な青空ではなく、神経質な夕暮れだった。
中華食堂にはまだのれんがかかっていない。
ディナーは夕方からだったと思い、目の前を通りすぎることもなく足早に家に入った。
まるで男一人暮らしのような部屋。
タバコとお香で空気がよどんでいる。
私は缶酎ハイをプシュッと開ける。
母さんから感情のこもらないショートメールが届く。
転落事故で怪我をしたことを父さんに報告したから怒っているのだろう。
登録している仕事斡旋会社などからメールが届く。
うざったいから再びモッズを流す。
四枚もアルバムを聴いていると、幾つかお気に入りを発見する。
それらをリピートする。
激辛トムヤムクンスープが食べたくなってくる。
もしくは、ジムニーでかっ飛ばしたくなる。
モッズもジムニーに似合いそうだななどと思いながら缶チューハイ片手に座椅子にもたれかかる。
刺激的な何かが欲しいのかも知れない。
そう考えたら、日常なんて退屈ばかりだ。
街へ出たくなる。
唯一クレイジーなものはこのノートパソコン。
いや、そうじゃない、ネオンが私を呼んでいる。
一人でもいいのだが、これから化粧をするのが面倒だって話。
缶チューハイは、もう空になりそうだ。
私は決して人間に対して刺激を求めているわけではない。
勿論友達にもそうだし、男にもそうだ。
求めているのは深い愛情だったりする。
一緒にいて楽しいとかどうかは問題ではない。
最初はあまりピンと来なくとも、長い年月を経てわかることもある。
私への愛情深さを。
そう考えたら、短い期間で別れてしまった人のことは勿体ない気がしてしまう。
後悔はしないが、もっと長い目で見て、愛を育んでも良かったのではないかと思ったりする。
相手の愛情だって、長い年月を経て私へ向いてくるというもの。
いやだ、愛されていないから別れる、なんてことは短絡的でしかない。
だって、私が相手を愛していたことすら気づかない有り様。
私だってはっきりと言えばいいのに、何故、大事な局面で人見知りなどを発揮したりするのだろうか。
一言、愛しているのだと言えばいいだけなのに。
そう考えると、シャイなんてものは何の得にもならない。
口達者である必要もないが、想いを伝えることは大事である。
恐らく、相手もかなりのシャイだったのだろう。
何故なら愛していると言われたことなど、たった一度もないからだ。
不器用な二人の結末は、言うまでもない。
恐らく女々しいのは男ばかりではない。
少なくとも私はなかなかそれに近い。
決断の裏には果てしない喪失感が伴う。
果たしてその決断は正しかったのだろうか。
違う選択肢もあったかも知れないからこそ、喪失感が未だに漂うのではないだろうか。
私にできることはそれを拭うことである。
残されたのはたった一つ。
こうしてキーボードを叩きまくること。
そうすることでしか、決着はつかない。
あぁ、これだけ月日が経ってもなお、どうしてこんなことを書いてしまうのだろうか。
新しい出会いが遅れているからである。