頼る人がいないということは、独自のスタイルがあるということ。
だったらこのままガンガン行けばいいと言ってくれる人がいる。
同じようなロックスピリットを持った人からのお言葉だったので、そのまま受け入れることにした。
私は、常に自分に言い聞かせている。
暗示にかけている。
思い込もうとしている。
『人と比べず過去の自分と比べる』ということを。
具体的に私の場合はこの教訓をどう活かしているかというと、例えばこういうことだ。
私は有名作家のマネをしない。
成功事例が幾つもあることはわかっている。
でも、好きな本しか読まないし、読書量はかなり少ない。
じゃあ何をしているかって、自分の過去作と現在の実力の擦り合わせをしているのだ。
過去の自分は超えられる。
つまり、過去作よりはいい作品が書けるというわけだ。
ブレイクスルーポイントは必ず訪れる。
実力のみでそれを迎える場合もあれば、良きパートナーとの出会いかも知れない。
ミュージシャンが良いプロデューサーを迎え入れるようにね。
ところが私の自立心は、よほどのことじゃない限りそれを許さない。
自分の力でブレイクスルーポイントに出会いたい。
そのために必要なことは極めて簡単である。
歩みを止めないことだ。
私は毎日自分を励ますために、これを書いている。
先にも書いたが、暗示をかけるためだ。
『お前ならやれる!』
ってね。
実は原稿を目の前にして、無事に発売日を迎えられるのか不安の塊だ。
私にできることは大体やっている。
その最たるものは、発売日から逆算して行動することにある。
もはや新人賞の獲得は、通過点でしかない。
そこが目標ではないのだ。
当たり前として到達し、それによって新作の発売日を迎えることが当面の私の目標となっている。
九月一日と未来を決定する。
その日のことは、まざまざと見えているように想像する。
過去に経験したことをリアルに覚えているかのように進む。
そして未来を決定しなければ穏やかだった坂道を急角度に設定する。
いやいや、発売日を来年にすればもっと自分のペースでゆっくりと進むことができるじゃない!
そう思う人も大勢いるだろう。
違うね、私にとっては集中型カリキュラムが必要なのだ。
ガンガン自分に負荷をかけて、とにかく意識を集中させることだ。
そして思い込む。
『お前ならやれる!』
ぶっちゃけ、頼れる人がいないので、毎日原稿の前で泣きたくなっている。
取り組んでいることが難題ゆえ、心細く、不安なのだ。
それでも私は一人で何が何でも高いハードルを超える。
その過程は逐一ここに書く。
時に人々が私なんかよりもとても忙しそうに見えたり、充実しているように見えたりもする。
しかし、人と比べてはならない。
あくまでも過去の自分と比べるのだ。
できない理由を探すのではない。
できる理由を探すのだ。
私の場合は、介護職を辞めたこと。
ここまでお膳立てして、書くための環境を整えて、なぜできない?
できない方がおかしいでしょう。
これでできなかったら才能がないんだよ。
偽物は消えた。
本物だけが残った。
彼ら彼女らは、私の歩みを止めたり邪魔したりしない。
お節介を言うやつもいない。
ただ、私のロックスピリットを理解して応援してくれるだけだ。
私はたった一人で船に乗った。
舵を取るのはこの私。
いつ船を出して、いつまでに向こう岸に着かなければならないかも計算済み。
構わない、たとえ向こう岸には誰もいなくとも。
船を出した時点で、別れを覚悟しているのだから。
もう元には戻れないし、ただ目的のために前へ進むのみである。
今まで孤独じゃないと勘違いしていたのは、偽物が群がっていたから。
偽物なき今、たった一人になった。
本物が向こう岸で待っていてくれていると信じて、私は行く。
ややこしいようで、単純な話。