実は仕事の打ち合わせがあった。
今年、私がどのように稼いでいくのかを決めるものだった。
北千住で飲みすぎたのだが、落ち込む暇もないくらい、神様は私に素晴らしいものを提示してくれた。
北千住で一緒だった友達が私に果敢にこう言っていた。
「蓮さん、安定収入を得たほうがいいよ!」
勤めに出ることに抵抗があった私だが、北千住で働くならアリなどと思った。
なぜならガールズバーへ行ったからだ。
ホステス経験のある私としては、カウンターで酒を飲みながらお客さんと話す仕事ならやりたいと思ったのだ。
帰宅して二日酔いの朝、電話して面接でもしてもらおうかな?などと考えていた。
きらびやかな服装で、酒を飲みながら小遣いが稼げるならこんなにいいことはない。
普通に生活していては閃かないようなことも湧いてきそうな気がした。
カウンターにいた女性もまた、四十三歳でもイケますよ、などと言うものだから、私も調子に乗ったのだろう。
あと一歩で電話して勤めに行くところだった。
食い止めたのは、紛れもなく『打ち合わせ』である。
結論から話すと、いい条件で仕事を紹介してもらうことができた。
これも何かの運命であり、神が提示してくれたものだと捉えて快く引き受けることにした。
場所は池袋。
我が家からは少し遠いのだが、取り敢えず半年くらいでも頑張ってみようかなと思っている。
化粧品のサンクスコールの仕事らしい。
それなら私にもできる。
私はお客さんとしてとある会社から化粧品を毎月購入している。
その際、コールセンターの女性スタッフと遣り取りしているのでイメージが掴みやすかった。
話のネタにはならないかも知れないが、とにかく稼ぐことはできる。
意地でも雇われる立場には戻らないと決めていた。
しかし、会社員と個人事業主を並行してやっていった方がいいとのアドバイスを戴いた。
稼いでいれば、ラーメン屋で広東麺を食べたくらいのことでは自己嫌悪に陥らないだろう。
精神状態も安定するのではないだろうか。
その代わり週五日以上の勤務なので忙しくなる。
どうやって執筆の時間を捻出するかが問題だ。
八時間勤務なので、居酒屋に寄る暇もないだろう。
直帰して、翌日の投稿を書いて寝るというスタイル。
金銭面での苦労はこれにて抜け出せることになる。
休みの日に、如何に集中できるかが鍵となる。
まぁ、それだけ追い込まれた方が捗るだろうと見ている。
時間管理としては、休日に一日五時間の執筆ができれば、一ヶ月四十時間を確保することができるという計算だ。
遊ぶ暇がないということは、稼いだ金は自動的に貯蓄に回る。
一つ私の弱点だったことが解決されることになる。
神様というものは、私がピンチに追い込まれると動いてくれる。
その代わり、近づく人もいれば遠ざかる人も出てくる。
ピンチだとわかっていながら手を差し伸べてくれなかった人は、遠ざかる運命にいるのかも知れない。
神様はもしかしたら、そっちじゃないよ!と言ってくれているのかも知れない。
だから、ここにきてここのタイミングで好条件の仕事を差し出したのかも知れない。
問答無用で、私はそこへ行くしかないと思っている。
先にも書いたように一ヶ月四十時間の確保ができれば、新作制作も問題ないと感じている。
強靭な精神力とは、メンタルの充実が最も重要だ。
金銭的なことで安定できれば、ガタガタと崩れ落ちることもないかも知れない。
しばらくは忙しくなりそうだが、酒さえ飲まなければ乗り越えられるだろう。
とにかく、一番の弱点を補うことができそうで安堵している。
やはりまだ私は神から見捨てられていないようだ。