なんとシステムトラブルで十七時で帰ることに。
午後から隣のスタッフと喋っていただけのような。
久々の会社だったが、橋岡さんお帰りなさいと言われて、なんだか安心した。
システムトラブルが、まるで待っていてくれたみたいだ。
とにかく仕事のことから、使っている化粧品のことまで喋り倒した。
あれ?
職場楽しいじゃん!
なんだ、皆、私が辞めたと思って寂しかったみたいだ。
「橋岡さん、全然来ないから辞めちゃったのかと思ってました」
「いや、ちょっとだけお休みいただいたので、その代わり鬼シフトで連勤だよ!」
「十一連勤とかヤバいっすね!橋岡さん死んじゃうかも」
「マジで死ぬかも知れない」
考えたら、コールセンターだから、皆、話上手の乗せ上手でもあるのだが、こんなに誇らしげに気分良く話したのはいつ振りだろうか。
周りが年下ばかりなのをいいことに、やたらと色んなことを自慢した。
私達が販売している美容液を使っていること、女性ホルモンサプリを飲んでいること。
ヤバい、楽しかった。
朝はまるで地獄の果てに帰ってきたようだったのに、半日喋り倒したお陰で、別人のように復活してしまった。
頭の中では前の日まで旅をしていたことも忘れていた。
涙を流したことすらどうでもよく、延期になったドコモ面談のことも頭から消え、とにかく仲間達とワイワイできることこの上ない喜び。
やだ、私って単純すぎる。
そして人にはスペシャル優しい私だが、スペシャル薄情でもあると思った。
この勢いで、彼氏でもできないかしら?
年下のスタッフを前に饒舌多弁になっている私のことを見て、可愛いなと思ってくれる男スタッフはいないんかい?
だけど、シャイなスタッフもいることだろう。
私が帰ってきて密かに喜んでいるくせに。
そうならそうと言えばいいのに。
まぁ、言えないところがまた良いところ。
これは私の勝手な妄想の話だが。
早く仕事が終わったので友達に連絡したが予定が合わず。
一人で北千住のプラントに寄った。
十七時に仕事が終わるってこういうことか。
プロント激混み。
やっとビールが来た。
久々の一人時間、久々の街中。
激混みだが、入れ替わりも激しい。
長居する客は少ないようだ。
やはり、私ってこうやって自由に働き、自由に寄り道したりして生きる方がいいのかも知れない。
仕事が上手く行かないと、結婚したくなる。
契約が取れないと自分の存在価値がわからず、誰かにとってかけがえのない存在になりたくなる。
そのくせ、契約が取れて自信満々な時は、誰かのものになんてなってたまるか!などと思う。
とはいえ、私も若くないから、いつかは誰かとどこかで落ち着きたい気持ちはある。
私だから、若者の中で、人気者でいられるのだ。
それは、ボキャブラリー以外の何ものでもない。
先日も書いたが、経験が私を強くしているのである。
傷ついた時のBGMも決まっている。
この曲を頭の中で流せば立ち直れると知っている。
感傷に浸っている暇はないと言われても、単純明快な私はとことん感傷に浸ればいい。
反動でケロッと立ち直れるから。
まだ叶っていないことがある。
友達に会っていないし、当分会えそうにもない。
だけど、信頼関係ってあるんだなって思う。
不思議なことに、不安にならないからだ。
考えたら、単純な話。
東京近辺にいれば、日本中から皆が会いに来れる。
地方に行ったら、誰とも会えないじゃん。
それを考えたら、やっぱり帰ってきて安堵した。
あれ?
涙はどこへ?
そう考えると、やはり私って単純にできている。
人間の温もりを求め、彷徨っているが、結局は人間に救われているようだ。
時には人間に傷つくこともあるけれど、それは人間が好きだから。
九州では結局星空を見ることができなかった。
それも何かを意味しているのかも知れない。