nakanakadekinai's diary

単なる日記でもなければ、単なるエッセイでもない

辛い方へと運ばれる

会議がどこでどんな風に行われたのかは知らないが、会議で決まったことを告げられた。

私は一ヶ月間、ドコモの販売員として研修をするそうだ。

私が所属する会社でもドコモの案件を扱っているとのこと。

え?結局ドコモなの?

ショップなのか量販店なのかはまだわからない。

とはいえもう三月末になろうとしている。

来週には決まるだろう。

一ヶ月研修を経て、その頑張りや成績によって方向性が決まるそうだ。

なんだよ、コールセンターは今月で終わるのかよ。

皆が寂しがるだろうに。

私はまさかまさかのドコモなのか、やはりドコモなのか、縁があるのかなぁ?

四月も壮絶な一ヶ月となりそうだ。

ただ、対面販売できるのは嬉しい。

たぶん電話営業より、対面販売の方が得意だと思う。

月に二十日以上稼働なので、休みもあまりない。

新しい仕事を覚えたと思ったら次の職場へ移動になる。

化粧品の新規獲得営業が懐かしく感じる。

私って一体何者で、何を目指しているのだろうか?

もうここまで来れば、流れに身を任せるしかない。

自分の考えが及ばないからだ。

 

 

ドコモの販売員には少し未練があったので引き寄せられたのかも知れない。

コールセンターで皆とわいわいやるのは天が許さなかったか。

やはりいつでも辛い方へと運ばれる運命にある。

せっかく仲良くなりかけた仲間とも切り裂かれ、たった一人新たなる戦場へ向かう。

私らしい結果といえば、そうかも知れない。

確かに私には少々ドコモショップでの経験がある。

新規獲得は得意分野だった。

かといって、十年前のスキル。

どこまで通用するかはわからない。

全ては一から始まると思った方が良さそうだ。

あれから十年、再びドコモのために働くことになるとは思ってもみなかった。

何気なく、コールセンターの上司にポロっと言ってみた。

 

「来月から私、不安ですよ」

 

まばたきもせず私の方を見ていた。

私としてはこう言って欲しかったのだ。

 

「橋岡さんなら大丈夫ですよ!」

 

ところが上司は、あたかも不安げにこう言った。

 

「その不安な気持ちは上の人に伝えた方がいいんじゃない?」

 

その言葉が益々私を不安にさせた。

要らぬ期待を抱いて話かけたりしなければ良かったと思った。

言葉って本当に難しい。

 

 

コミュニケーション能力は、今の世の中で必須だと思っている私にとって、口下手というのはどこか言い訳がましく感じたりする。

口で言えないなら文字で、文字で伝えられないなら口で。

もうね、酒の力を借りたっていいと思う。

口で伝えられないならボディーランゲージで。

それも無理なら行動で。

とか言っている私も実は口下手で。

酒の力を借りるか、文字で語るかなのだが、あらゆる手段を使って相手に伝えようとしていることは確か。

それでも伝えることに疲れることもある。

何を必死になっているのだろうかと、ふと我に返った時、とてつもなく疲れている自分に気づいたりする。

そういう時は、伝えようとするのをやめてみる。

私からは一切連絡しないし、相手からの連絡を待つわけでもない。

これがいわゆる自然消滅ってヤツなのかな、なんて思ったりして。

元々本音でぶつかれる相手ではなかったしな、などと振り返る。

連絡しないことが心地良く、また、連絡が来ないことに諦めの感情を抱く自分に気づいたりする。

もっと言えば、連絡が来たら考えてもいいかななんて、いつの間にか上から目線になっていたりする。

そんな関係は長く続くわけもない。

 

 

素の自分でいられる人って数少ないけどいるものだ。

だからこそ、気心知れた、なんて言葉があるのだろう。

とにかく四月になっても頑張ってくる。

私にとって素晴らしき出会いがあるかも知れない。

案外生き生きと、バリバリと働いているような気がしてならない。