神経内科とネット回線開通工事が終わって、アパートで離婚届を書き、草加駅前のガストへ向かった。
混んでいたら話し合いにならないと思って早めに出たのだが、着いたらガラガラ。
一番わかり易い場所を陣取ることができた。
友達と電話したりしながら三十分くらい時間を潰し、メールの返信などをしていたら旦那が現れた。
私は大して何も言わず離婚届を差し出したら、すぐにサインしてハンコを押してくれた。
「お袋が心配してたぞ、あの子は誰かに騙されているんじゃないかって」
旦那に最後そう言われたけど、何も答えなかった。
本当は辛いクセに、そう思った。
素直になれないとはこういうことなんだなと。
人間はいつまでも意地を張っていると損をする。
その典型を見ているようだった。
そして、本当に蓮ちゃんは誰かに巻き込まれてこういう行動を取っているかも知れないと思っているようだ。
そのようなLINEが入っていたが、私は何て返信していいのかわからなくて未だに返信していない。
貴方に騙されて結婚したんだよ、と言いたかったが。
それにしても、すんなりサインに応じてくれて助かった。
草加市役所がどこにあるのかもわからないけど、離婚届を持って行く。
ところが、証人してくれる人のサインをもらっていない。
保険証を旦那に返してしまったので、まずは保険証を手に入れなければならない。
というのも神経内科に通院しなければならなくなったからだ。
どうやら私は「重症筋無力症」という難病を患っているらしい。
土曜日も精密検査を受けに神経内科へ行かなくてはならない。
視力が落ちたのではなく、この難病のせいで目が見づらくなっているとのことだった。
手術はせず、服薬で治療するとのこと。
このような病を患うということは運命なのだと感じた。
てか、一難去ってまた一難。
だけど症状の原因がわかって少し気持ちは晴れやかだ。
真っ直ぐ座れないとか、まぶたが左目だけ落ちているとか、唇が左だけ緩むとか、物が二重に見えたり遠くが見えなかったりする。
そうか、そういうことだったのか。
この病の原因を特定するのは難しいようだ。
結婚してからストレスを溜めすぎたのではないかなぁとも思うのだが、それだけが原因とも言えないだろう。
精密検査は続くようだ。
一人になった瞬間難病が発覚するなんて、運命としか言いようがないでしょう。
かといって、旦那と一緒にいたら心強かったか?
医療費を払ってくれないことにイライラしていただろうに。
そういうことを考えたら一人で背負って行く方が気が楽ってもんだ。
詳しいことはまだわからないが、少しずつ検査をして行く。
医師曰く、私の目は、大して悪いところはないようだ。
離婚届にサインとハンコをもらって、私は友達から布団をもらった。
ついでに酒のまとめ買いをし、トンカツを食べて帰ってきた。
そしてあまりにも静かな部屋で、大急ぎでこれを書いている。
想うことは、あれも運命、これも運命、ということだ。
結婚したのも離婚したのも、運命である。
そして私が難病を患ったのもこれまた運命である。
今、こうして一人でパソコンに向かっているのも運命。
離婚することになって、私の運命は大きく動き出したという結果が見えてきた。
上手く伝えきれていないが、確実に新しいステージに立ったということだろう。
これから出会う人もどんどん変わるし、見ている世界も変わってくるだろう。
友人曰く、私の海外出版の話はまだあまり把握されていないようだ。
だが、夢が一気に近づいてきた気がした。
冷たい世の中だが、そんな世の中に対して私は運命とやらを問い続けるだろう。