久々にノルマを遥かに超えて八万円以上の売り上げを叩き出した。
もっと喜べばいいのに、ゼロスタートだということを痛いほどわかっている。
しかも喜べないほどに疲れ切っていた。
一体QPコーワゴールドを何錠飲んだのだろう。
身体中が疲労で痛いよ。
ただ、疲れたなんて言ってられない。
そう、待ちに待った休み、元ホストと不動産屋へ契約に行くのだ。
契約が終われば、寿司でも食べようということになっている。
「俺を動かすのは高いぞ!?」
などと言っていたが、確かに緊急連絡先にもなってくれた。
御礼はしなきゃと思っている。
本当は家に泊まりに来て欲しいけど、たぶん谷塚まで来ないだろうな。
私は正社員になったんだから、夜遊びもほどほどにして、身体を休めて仕事頑張らなきゃだ。
でも、私のために一日空けてくれたので、別々に帰るのも寂しいのだが。
私が元ホストの家に泊まりに行ってもいいのかなぁ?
たぶんダメだと言われるはずだ。
女を入れたことがないのだそうだ。
まぁ、流れに身を任せよう。
実は先日、元ホストと先輩と隣の会社の社長と三人で飲みに行ったそうだ。
皆でキャバクラへ行こうという話になったが、元ホストは行かないで帰ってきたそうだ。
私のことが心配だったようだ。
めちゃくちゃ嬉しかった!
そしてその夜私とLINEしてて、密かに愛を囁いてくれた。
翌日会社へ行ったら先輩の姿がない。
隣の会社の社長もいない。
どうやらキャバクラで飲みすぎたようだ。
元ホストだけが元気だった。
手も握らない元ホストだが、やっていいことといけないことはわかっているようだ。
私の知らないところでキャバクラへ行くのは気が引けたのだろう。
もしかしたら私が考えている以上に、私のことを想っていてくれたりして。
『段階』について真剣に考えていてくれたりして。
ごめんよ、私くらいになると、元ホストの言動で一喜一憂。
周りを振り回しているかも知れない。
そんなことを考えながら、北千住のプロントでパスタを食べている。
回転寿司へ行くより安いのと、元ホストと寿司屋へ行くかも知れないからだ。
それくらい奢らなくちゃ。
やっぱり数字が上がると心が落ち着くぜ。
この会社は数字が全て。
人間性なんて言葉は通用しないのさ。
でも私は人間性と実力と強さと弱さの全部をわかって欲しいのだ。
数字だけで私を判断するな!
でも、時には私だって数字を上げられるところを見てくれ!
ぜーんぶぜーんぶぜーんぶ、愛の力なのだ。
男なら、それくらいわかってくれてもいいのに。
男だからわからないのか。