夕方以降、疲れが出てくると酒が飲みたくなる。
しかし、まだやることが終わっていないし、飲んだら眠たくなるのがわかっているのでシラフでこれを書いている。
この週末で、もう私の元から作品は旅立つことになる。
この作品を世に送ることによって、私の傍から離れていく人がいるかも知れない。
けれども、そういう人は所詮それまでの人。
自分にそう言い聞かせている。
誰にも媚びず、愛想も振らず、ただひたすら自分が書きたいように書いた作品である。
自信を持つべきなのだが、ここに来て、やはり怖いというのが本音だ。
日中は、トンカツを食べに行ってきた。
ボリューム満点だった上、美味すぎるキリンラガーの瓶ビールを平らげたので、帰ってきて横になったら寝てしまった。
時間がないのに寝ている場合じゃないと飛び起きて、パソコンに向かった。
しかし、連日の作業の疲れは隠せないようだ。
昼寝から目覚めて三時間で集中力が続かなくなったので、これを先に書いてしまうことにした。
当初、私はこの作品を公にすると同時に命を落としても構わないと思っていた。
しかし、人間なんて思うように死ねるものではない。
これからはこの作品を名札のようにぶら下げて生きて行くことになる。
私の中にそんな強さがあっただろうか。
もっともっと私は弱い人間だったはず。
それなのに堂々としていられる背景には、この作品を共に創り上げた仲間の存在があるのだと感じている。
この作品を出すに当たって、ちょっと待った!と言う人は一人もいなかった。
それこそが、全ての答えなんだと信じている。
とはいえ、この作品を心の底から必要としている人が必ずいるという確信もあるわけで。
本気で人生を歩んでいる人にとっては、欠かせない一冊となるだろう。
自信過剰でも何でもない。
なぜなら、それだけ真剣に書いたからだ。
何度も読み返してくれることだろう。
そして、様々なシーンで涙してくれると思っている。
私も、自分で書きながら、好きなシーンが幾つかある。
そして、同じシーンで涙する。
作業は苦悩の連続だ。
満腹でほろ酔いのまま、昼寝から目が覚めた時、夢を見た。
母さんと弟と、古着屋でTシャツを選んでいる夢だった。
私はピンクのTシャツを試着した。
母さんに買ってもらったグレーのTシャツは太って見えたから着れないな、などと考えている夢だった。
夢の中で気になったのが、先に弟だけが古着屋に連れて行ってもらい、私は後から追いかけて行っているということだ。
どうして一緒に連れて行ってもらえないのかと、寂しい気持ちを抱いている。
そんな夢だ。
これはある意味幼少時代のトラウマと関係しているのではないか。
弟だけが可愛がられ、寂しかった幼少時代。
恐らく、幼少時代のことを考えながら小説を書いているので、このような夢を見たのだと思う。
人生ってあっという間に過ぎて行くもの。
あの頃から心は何も変わっていないのに、気づいたら四十二歳になっている。
最近思うのは、いじめっ子っていうのは大人になってもいじめっ子なのだろうということだ。
人間の本質はそうそう変わらない。
けれども、いじめられっ子は、いじめられない自分に変わることができる。
それは大きな違いだと思っている。
つまり、人生の中で「価値」を見出せるかどうかだ。
見つけられた人は、もういじめられたりなんてしない。
仮に、馬鹿にされるようなことがあったとしても、気にしなくなるということ。
幼少時代、弟ばかり可愛がられていたが、未だにそういうところが残っている。
かといって、この歳になるとそんなことはどうでも良くなる。
それによって寂しさを感じることはなくなる。
なぜか。
全ては、これに尽きると思う。
私が人生に体当たりして、「価値」を見出したからだ。
この手の話は、尽きないのだけれども。