橋岡蓮 ’s diary

単なる日記でもなければ、単なるエッセイでもない

生意気ながら

快晴。

気温も高めで気持ちの良い日に相応しく、上野でとある人と待ち合わせをしていた。

上野駅ハードロックカフェの前で、その方が来るのを待っていた。

待ち合わせ時間が近づいてきたその時、見知らぬ人から声を掛けられた。

 

「すみません、女優の梶芽衣子さんですか?」

 

間違いない、こんなことを言うのは私の読者さん以外にはいないと思った。

 

「そうです」

 

生意気ながら、私はそう言って笑った。

緊張や気まずさを一瞬にして吹き飛ばしてくれたこのお方は、やはりなかなかのセンスの持ち主だ。

なんだか楽しくなりそうだ。

さすがである。

私達は、即座に上野駅近くの焼肉屋へ移動した。

どうやら私が「焼肉屋が私を呼んでいる」などの投稿を書いたから気を遣ってくれたようだ。

ここで皆さんに謝罪と云うか、言い訳がある。

初対面と云うことで緊張もあったため、生ビール一杯と赤ワインのグラスを一杯ずつ飲んでしまった。

意志薄弱な私で、心配してくださっている方には申し訳ない。

そう思いながらも、滅多に会えるお方ではないので、ぶっちゃけると調子こいた。

まぁ、お陰様で会話はスムーズに行ったし、久々の生ビール、しかも氷ジョッキだったのでめちゃくちゃ美味かった。

 

 

本の話や、音楽の話、仕事の話など、話は尽きなかった。

お会いする前から、きっと話は尽きないだろうという根拠のない自信もあった。

私は生意気だけど、古い音楽も知っているし、こう見えて元ホステス。

お世辞やおべんちゃらは言わないが、お話し好きでもある。

年上の男性ウェルカムだ。

そもそも浅川マキのファンであるという共通点だけで、もう十分すぎるくらい。

一つ共通点があれば、十の共通点を見出すことが可能。

私はここぞとばかりに人生の先輩に仕事の悩みなどを相談した。

ご本人は謙遜なさっていたが、的確なアドバイスを戴けて光栄である。

お薦めのアルバムまで教えてもらって、早速それをYOUTUBEで探して聴きながらこれを書いている。

私は敬遠していたマイケルジャクソンの「オフザウォール」というもの。

なるほど、薦めてくれた理由がよくわかる。

また、私がハービーハンコックのピアノの話を持ち出したところ、大好きなんだそうだ。

ほらね、会話が尽きない理由がわかるでしょう。

 

 

ドトールでコーヒーを飲み、上野駅で解散した。

十七時頃だった。

恐らく私の怪我を心配し、無理させてはならないと気を遣ってくださったのだろう。

私は朝まで付き合うつもりだったのにね。

誘われなかったので、拗ねて電車に乗って直帰。

ウソウソ、それは冗談だが非常に気分良く帰ってこれた。

どうやら彼は久々の東京だったらしい。

疲れてしまうくらい歩き回り満喫したようなので、何よりである。

ふと思った。

なんだかんだ言って東京は日本の首都。

この近辺にいれば、皆が会いに来てくれて、皆に会えるのだと。

なんだか腑に落ちた。

浅川マキのブルースロックが流れるこの部屋に、いればいいんだと思った。

 

 

帰宅して照明を点けたら、こたつの上に置いてあるノートパソコンとノンアルコールビールの空き缶の山が目に入った。

いい加減に空き缶を捨てろよ!

だけど、私らしくて良しとした。

なかなか怪我が完治してくれないので、もうしばらく暇人生活は続く。

読書も執筆もイマイチ集中できず、手につかない。

その話もしたのだが、そういうもんだ、みたいなことを言ってくれて嬉しかった。

一歩間違えれば、時間と暇が勿体無いとか言われ兼ねないのに。

これまた私の言い訳としては、いつ治るかわからない怪我を抱えて仕事ができない状態でソワソワしているのだと云うこと。

とにかく、ご本人は気づいていないかも知れないが、清々しくポジティブだった。

だからこそ私が繰り広げる蓮ワールドに共感してくれるのだろうけどね。

生意気ながらそう思った。