nakanakadekinai's diary

単なる日記でもなければ、単なるエッセイでもない

キミは独りなんだよ!

新宿で友達と飲んできた。

最初は『ベルグ』という店でビールを一杯飲んで、そこから『思い出横丁』に移動した。

『思い出横丁』では三軒ほどはしご。

実に楽しい酒だった。

あまりにも弱くなった自分に驚いたものの、おでんを食べたり、焼き鳥を食べたりして楽しい時間を過ごすことができた。

私の作品をとても気に入ってくれた方で、もっともっと感想が聴ければ良かったとは思った。

他の話題で盛り上がっていたのだ。

ただ、私が来年発表する作品についても好意的な意見を述べてくれて心強かった。

『思い出横丁』は、赤ちょうちんがひしめき合っていた。

どこも満席で、私達は割と空いている店を選んで入った。

凄い人混みだったが、考えたらクリスマス・イブの前日だったのだ。

考えたらクリスマス・イブに一人でいるなんて一体何年ぶりだろう。

ホステスをやっていた頃はクリスマス・イブなど大忙しだったし、結婚していた頃もあった。

今年みたいにまんまと土日に被ることも珍しい。

予定のないクリスマス・イブは、いつもと変わらぬ日々を送る。

来年発表の作品の執筆をして、投稿を書く。

恐らく酒も飲まない。

ただ音楽は聴くだろう。

一人クリスマス・イブの日に、一体何を流すのだろうか。

ローストチキンも食べずに終わるのか。

雪は降るのだろうか。

そんなことを考えながら、ほろ酔いで帰宅した。

酔いを冷ますのにひたすら水を飲みながらこれを書いている。

そうか、クリスマスか。

 

 

そう考えると、クリスマスの思い出が全くないことに気づいた。

あるとすれば十九歳の冬、好きな人がケーキを持ってきてくれたことくらいだが、私達は廃人だったのであまり思い出したくはない過去である。

自宅でクリスマスパーティーを開いたこともあったけど、写真に残っているだけで、あまり覚えていない。

一番記憶にあるのは、魚屋で働いていた二十二歳の頃だ。

私はクリスマスの日、レジ担当だった。

こんな特別な日にレジに立っていることがこの上なく虚しかった。

そして、早く帰って彼とクリスマスパーティーがしたかった。

しかし、彼もクリスマスは忙しく、残業で、結局パーティーはできなかったはずだ。

市場のレジは、これからクリスマスパーティーをする人々で溢れていた。

それが心底羨ましかった。

まだまだ若かったのもある。

真っ暗な自宅に帰って一人でクリスマスを過ごすことがとてつもなく寂しかったのだろう。

あの寂しさは半端ではなかったような気がしている。

この世からクリスマスなどなくなればいいのにと思った。

それは毎年思うことである。

 

 

特別な日なんていらない。

誕生日もクリスマスも正月も、家庭がある人はいいかも知れない。

独り者は、キミは独りなんだよ!と突きつけられる日でもある。

こんなに残酷なことはないのではないだろうか。

孤独っていうのは、概ね自覚しているものだ。

それをわざわざ再認識する必要はどこにもない。

この歳になったからまだ耐えられるようなものの、若者にはしんどかろうに。

何故、家庭のある人を基準にこれらのイベントは存在するのだろうか。

独り者は、侘びしいだけだ。

わざわざ世間から孤独を教えてもらう必要などないはずだ。

嫌でも自分で日々痛感していることなのだ。

スーパーへ行けば孤独を認識させられ、街を歩けば一人は際立つ。

そして何故自分は一人なのかと考えさせられる。

自己責任なのだとさえ思ってしまう。

独り者をここまで追い込む結果になるイベントというものは、果たしてハッピーなのだろうか。

普段は一人で平気なのだが、やはり今までは仕事でごまかしていたのだなと思う。

離婚して約一年が経つが、この一年間一体何をしていたのだろうかと考えさせられる。

とはいえ、私みたいな人はこの世に大勢いると思えば少し楽になる。

世間などどうでもいいというのは強がりなのだろうか。