長崎の雲仙というところの温泉宿でこれを書いている。
勿論、パソコンを持ちこみ、部屋で書いているのだ。
温泉は実に良く、執筆のためにはあまりにも贅沢すぎると思う。
これから夕飯だが、当日に予約したので、部屋食ではなくバイキングになった。
ルームサービスで日本酒を飲もうとしたら、ビールと焼酎しかなかった。
実は、まだ長崎の酒を飲んでいないのである。
食事の時に軽く飲めればいいのだが。
その辺の結果については、また明日に触れてみたいと思う。
朝は十時にはお世話になった家を出た。
案の定、別れが辛くて、涙が止まらなかった。
「蓮ちゃんまた来てね、近いうちに!」
「呼ばれればいつでも来ますよ!」
「今度は片道切符で来てよね!」
さっきまであんなに仲良くお喋りをしていたとは思えず、別れ際はギクシャクしていた。
車の中から思い切り手を振ったが、お互いに泣きそうな表情を隠せなかった。
五泊六日もお世話になったのだから、そりゃ泣くわな。
すっかり家族みたいになった矢先の別れだったからだ。
本気で考えた。
私って、また来ることはあるのだろうかと。
また来たいし、できることなら私だって帰りたくない。
だけど、こう見えて孤独に強い私は、自分に与えられた使命のために、やるべきことを片付けるために帰らなければならない。
そう、私の意志とは別の意思がそうさせているのだ。
な~んだ、蓮さん帰るのかよ。
そう思っている人も中にはいるのかも知れないが、悪いが帰る。
そして次があるかもわからないにもかかわらず、何となく心強く、パワーアップしたような気がする。
多くの人は私が帰ることに安堵を感じてくれるだろう。
いやいや、激務に戻るのかと思ったら、心配してくれる人の方が多かったりして。
帰宅したら、大忙しの私。
恐らく成田空港に着いたら直帰しないと諸々間に合わない。
実は、夜、ドコモショップの仕事の打ち合わせがあるのである。
実際に働くかどうかはこの打ち合わせでほぼほぼ決まることだろう。
コールセンターか、ドコモか、それで私の将来は変わってくるように思うので大事な打ち合わせである。
ドコモに就職が決まれば、ガチで全国展開も夢ではなくなる。
地方のドコモショップで働くもよし、上野や池袋で店頭販売すのもアリだ。
なんやらコールセンターは私の不在中に、新人が沢山入ったみたいだ。
あれ?私って帰ったら居場所ない?
いやいや、それはそれで考えたら寂しいことである。
そうそう、本場の長崎チャンポンを遂に食べた。
感想としては、こってり熱々の札幌味噌ラーメンには敵わないと思った。
私は身体に悪いものが好きなのである。
辛い、しょっぱい、脂っぽいの三本柱。
一週間もいたので魚も様々な種類を食べた。
だが、一番美味しかったのは初日に食べたサーモン刺しかも。
サーモンは長崎産じゃないじゃん、とは言うなよ。
それにしても考える。
何度も言うが、私って本当に再びここを訪れることがあるのだろうか。
最初は田舎すぎるなどと生意気なことを思っていたのだが、住めば都ってこのことを言うのだ。
物凄い吸収力でぐいぐいと町に馴染む自分に気づいた。
例えば、強制的にどこかへ連れて行かれても、私なら大丈夫かも知れないと思ったほどだ。
さて、埼玉のアパートに帰ったら、激務に流されながらも今後どうするのだろうか。
ただ、これだけは思った。
私はこの町には、ちとケバすぎる。
どこからどう見ても、やっぱり浮いている。
田舎町で人気者になるのは最初は楽しいかも知れない。
大都会で自分の存在価値がわからなくなって行くよりは、よほど大切にされるに違いない。
ゼロか百かのギャップに挟まれ、やはり悩むのである。
これから先、どうしようかと。