nakanakadekinai's diary

単なる日記でもなければ、単なるエッセイでもない

無意味で疲れること

こっちに帰ってきてから最も会いたかった人がいて、その人と飲みに行っていて、帰りが遅くなった。

仕事終わりだったし、翌日も当然仕事なのでゆっくりはできなかったが、一時間少し話をしながら飲んできた。

口先だけの思い付きで肝心なことを口にできる男も女もクズだ、みたいな話をした。

人のことを簡単に騙せる金づるのように、四方八方から騙しにかかる人の下心は、私には想像も付かない。

ソイツに群がる輩達はどいつもこいつも目が濁っている。

てめぇの権力や金や利益のことしか頭にないのだろう。

私にとってはもうどうでもいいのだが、今までのことを考えると、どうでもいいとも言えないような。

ただ、久々の東京で会話にあげるほどのことでもないような。

疲れてはいるが、目は冴えている。

かといって早く寝なければ、翌日の仕事が辛いよな、などと考えながらこれを書いている。

北千住は華金の夜ということもあって、どこも人混みだった。

時間帯も、ちょうど街が盛り上がる時間帯だったので、やっと見つけた店に入った。

この臨場感、高揚感、渇望感、狭い街に密集して一つになったような一体感。

これぞまさに私のリアルであり、他の街に求めても手に入らないものだと思った。

新宿や池袋にも、この感覚はない。

上野では物足りない。

やはり、北千住なのである。

 

 

会社は相変わらずのシステムエラーが長引いていた。

抜擢されて、別会社へ出向き、業務にあたってきた。

休みにさせられた人が大勢いる中、結果を残さなければならないという責任感たっぷりの私は、期待通りの結果を出した。

 

「どうして橋岡さんはいつも冷静なんですか?」

「数字を上げた時もそうじゃない時も、常に初心だからです」

「そうあるべきだと言われてもそうなれないのが普通ですよ」

 

いやいや、たかがこれくらいのことで一喜一憂し、テンションをコントロールできなくなるほど私は甘っちょろくない。

とはいうものの、結果を出さないと疲労感は半端ではない。

そういう意味で、適度なアドレナリンが私の疲労を奪い去ってくれている。

そろそろ日付が変わろうとしている割には、重くのしかかるものがない。

 

 

旅から帰ってくると、現実がありありと見える。

出迎えてくれて嬉しいこともあれば、一生関わりたくないものもある。

九州で旅行中だった時は脳裏をかすめることもなかったことが、ここに居ると嫌でも思い出してしまうこともある。

その逆も然り。

東京の良さを目の当たりにすればするほど、九州で見てきたものとのギャップを感じたりもする。

ただ一つ言えることは、こんなにデカい街は、私を待っていたということだ。

そして、こんなにデカい街だけど、私にとっては小さな規模の集合体でしかないかも知れないということ。

更には、大都会に出会いを期待しているけれども、実はもう出会っているかも知れないということ。

もっと言うならば、宇宙すら小宇宙の寄せ集めのように思えたりするのである。

日本という国は所詮は島国なのだが、かと言って大陸へ行っても、それは似たようなもので、肝心なのは私が宇宙でいることだと思った。

 

 

人に期待してはならぬ。

大都会東京ですらちっぽけに感じるのに、単体の人間が宇宙を知らないのは当たり前。

私の気持ちがどうして理解できないのだろう、なんて考えるのは無謀である。

わかるわけもないし、そもそも、男が女心を知らないのは無理のない話である。

とはいえ、百歩譲っても、常識で考えてやっぱアイツは無知すぎるなんて思ったりもして。

人間が人間の心の中を考えることほど無意味で疲れることもない。

なんでこんな単純なことがわからないのだろうと途方に暮れる自分に途方に暮れたりして。