nakanakadekinai's diary

単なる日記でもなければ、単なるエッセイでもない

譲れないもの

北千住で飲んでいる。

飲んでるんかい!!

こうも暑いと我慢ならない。

結局飲んで大丈夫なんかい?

わからない。

ビール一杯で帰ろうと思ったが、ハッピーアワーが十八時まで。

生一杯では勿体無い気がして、角ハイボールを頼んだところである。

やっぱ私って飲兵衛。

相性の悪い薬を飲みながらも、北千住に来たからには飲んで帰らないと後悔すると思った。

いや、強引にホテルに誘われてあれよあれよというまに気づいたら隣に誰かが寝ているのと似ている。

気づいたら居酒屋barのカウンターにいた。

時刻は十七時半。

ハッピーアワーが終わるまで三十分しかない。

そりゃ飲むでしょ。

酔わなきゃいいんだろう。

だからチビチビ飲みながらこれを書いている。

実は初めて入る店。

美味いサーモン刺しが北千住で食べれるなんて!

ちとテンションが上がった。

やっぱ、たまに来なきゃな、北千住。

夏服が無いから、ざっと五着買ってやった。

Tシャツ二枚、ブルゾン、シャツ、スカート。

コールセンターはお洒落な若い子ばかり。

いつも同じ格好では居られない。

刺激を受けて、若作りしている。

いや〜、北千住最高!!

埼玉県民にとって北千住は大都会!

そして一番愛着のある街。

渋谷でも新宿でもない、北千住だ!!

丸井とルミネがあるじゃない!

それにしてもこの店何もかもが美味い!

ナスもアボカドも美味かった。

こりゃ、ハシゴする必要はなさそうだ。

あれ?頭が痛くなってきた。

二杯目なのに、やっぱり飲んだらヤバいのだろうか。

いや、気のせいにしよう。

 

 

北千住駅前の喫煙所で買い物を終えて時計を見た時、まだ十七時を過ぎたばかりだった。

時計を見ながら、これから真っ直ぐ家に帰るのは早いよなぁと思った。

飲兵衛にとっては十七時ってゴールデンタイム。

帰ってもやることないし、夜が長いよなと思ってしまった。

とか何とか言い訳しながら北千住の魔力に導かれるように私はここにいる。

ましてや、身体が楽になったので私を止めるものはない。

ここで飲んでも飲まなくても後悔するのなら飲んでもいいだろう。

BGMがもっと渋かったら最高なんだけどな。

せめてロックだろう。

J-POPじゃ酔えないよなぁと思いながら頭が痛い。

でも帰りたくない。

この気持ちわかる人いる?

 

 

店を出て北千住の街をぶらぶら歩いた。

客引きに声を掛けられながらも私が入ったのは、一人もお客がいない沖縄料理屋。

おい、十九時だぞ?

一人もお客がいないとかヤバいだろ!!

だが少々私は調子に乗っている。

なんでも冒険心がないとダメだ。

酔ってはならぬと思いながら、泡盛を頼み、ラフテーと島豆腐の奴をつまんだ。

カウンターの中にいるマスターは一言も喋らない。

お品書きには値段が書いていない。

でも、変な泡盛で悪酔いしたくはない。

だから勇気を出して古酒を頼んだ。

ここまで来たら金のことは気にしてはならぬ。

取り敢えず、泡盛は美味かった。

銘柄が気になって仕方なかったが、変なところ小心者だから訊かなかった。

結局お会計は千五百円!

もうね、これだから北千住大好き!

ぼったくらない店しか生き残れないことを証明してくれた!

結果的に三杯飲んで、酔ったけど気持ち悪くはならなかった。

やっぱり酒は友だ。

私を裏切らなかったってことだ。

 

 

池袋の近くに引っ越すことも考えるが、北千住は捨て難い。

何だかんだ言っても居心地がいい。

通勤を楽しむ工夫をすればいいのかも知れない。

イヤホンデビューしちゃおうか。

あぁ、マジで人間に戻った。

何事も我慢して寂しい生活を送るくらいなら、多少無茶した方が納得行く人生になる。

私からロックと酒を取ったら何が残る?

どうせ一回しか死ねないんだから。

譲れないものを挙げるとしたらロックと酒。

あれ?文章じゃないんかい。