寝不足が祟り、会社では死ぬ想いだった。
研修なら大丈夫だろうとなめてかかっていたら、とてつもなくヘビーな研修だった。
化粧品の営業から一旦遠ざかり、また別の化粧品メーカーのカスタマーサポートの仕事の研修だ。
しかも単なるオペレーターではなく、今度はある程度責任のあるポジション。
私の順応性や安定的な姿勢を高く評価されたようだ。
多くのオペレーターは、テンションにバラつきがあり、責任感に欠け、成績もまばらだとか。
その点、私は安定感があるそうだ。
契約を取った後も瞬時に初心に返ってゼロスタートすることができ、出勤すれば必ず件数を伸ばすこともできる。
ましてや、クレームになるような接客はしない。
他のスタッフや管理者から見ても、安心できる存在だそうだ。
もっと言うならば、頼もしいということだ。
そりゃそうだろ、私を誰だと思って。
結局、ドコモには行けないような空気感。
コールセンターでしょぼい扱いをされるのならば、ドコモで本領発揮したいと思っていた。
しかし、このまま急にいなくなるのは忍びない。
私の中にいる情深さが表に出てきてしまった。
こんな情なんて、あっけなく弾き返されるのは承知している。
ただ、一肌脱ごうかというような気にもなってきて、ドコモへの情熱は奪われつつある。
ドコモ側としては是非四月からと言ってくれていたし、面談の日も決まっていたが、時期とタイミングが合わないようだ。
私の理想としては、コールセンターで力尽きるまでやって、どこまで行けるのか試してみたいのかも。
ドコモへ行けば、私は定年退職するまでドコモレディとして生きることになるだろう。
資格取得試験の勉強があったりで、執筆は確実に遠ざかることになる。
それじゃあ本末転倒なんだよな。
この歳からドコモレディになれるのは奇跡的で、ドコモのお客様も私のことを待っているのだろうが、世代交代かも知れない。
情に脆い私らしい判断かも知れないが、ここまで来ると、辞めるに辞めれないよな。
ドコモに入ってしまえば、今までの私の執筆活動は一体なんだったんだ?って話にもなり兼ねない。
毎日投稿書いて、年一で作品創りをしてきたのは何のためだった?ってことになる。
私はドコモのお客様のために生きてきたのではなく、無名の私をずっと見守り支えてくれた読者のために生きてきたのだ。
これからもそれに変わりはない。
人間には大事な人とどうでもいい人というのがいて、見事に二分化される。
私にとって大事な人とは、私が命懸けで書いている文章を読んでくれる人。
どうでもいい人とは、私の文章を読まない人。
プライベートで私と連絡している人で、そこに安住して、読もうとしない人もいる。
寂しいなぁと思っていても、そういう人はどちらからともなく離れて行く。
結局それまでだったんだなと思う。
本当の私を理解しようとはしないまま、終わったんだなって。
そうなることが悲しいから、私は孤高でいて、皆に文章を読んでもらえる位置へ行こうとする。
だが、本当に大切な人は、どんなに親しくなろうと、私の文章を必要としてくれる。
読んでも読んでも、知った気になろうとはせず、もっともっと知ろうとしてくれる。
それくらいのことは、私にでもわかる。
結局、必要とし必要とされていることが全て。
一方的であってもダメ。
ドコモは私を必要としてくれたけど、私にとって必要なのは私の文章を読んでくれる人。
だったらコールセンターで働きながらこうして日々、想いを綴っていけばいいじゃないか。
そう思った。
やはり目指すところに変わりはない。
大抵の人は将来性のあるドコモへ行くんだろうけどね。
何故か私はまたもや不安定な職種を選んだことになる。
私らしくてそれでいい。