nakanakadekinai's diary

単なる日記でもなければ、単なるエッセイでもない

仲間

会社へ行くのが嫌だと誰もが思っているかも知れない。

重たい腰を上げて出社した。

え?!

本日の席順は、ゴキブリの隣かよ!!

マジか~。

一気にテンションが下がったのだが、私は考えた。

この一日を楽しむためにはどうすればいいのだろうかと。

そこで、いつもならシカトして黙々と仕事するところを、思い切ってゴキブリに沢山話しかけてみた。

最初はいつものように人を見下し、怠そうに受け答えしていたゴキブリ。

それでもめげずに話しかけた。

すると少しずつゴキブリが元気になって行くのがわかった。

やっぱりコイツ、昔の若かりし私と同じだ!!

自分の弱さを隠すためのバリアってヤツだ。

強気なバリアを張って人を遠ざけ、弱さを悟られまいとしているのだ。

かつて私は強がり女だったから、痛いほどそれがわかる。

そんなことを考えて接していたら、さほど悪いヤツでもないような気がした。

あれ?!

私って試練を一つ乗り越えたことになる?

成績トップに躍り出ることでしか自分を保てないゴキブリ。

私から優しくされたくらいでは、根本的なことは改善されないらしい。

半分オープンマインドになっているゴキブリは調子に乗った。

 

「明日全員出社かよ!人が多いと、俺、契約取りにくいんだよな~」

 

それを上司は聞き洩らさなかった。

 

「お前なあ、そういうことを言うのは止めろよ!!!」

「あ、あぁ」

 

流石ゴキブリ、自分のやらかした暴言に気づかない様子。

 

 

私は倍近く歳の離れた先輩として、敬語の使い方を教えてやった。

「お」や「ご」を多用するものではないと。

我々オペレーターは、せめて敬語くらい使えるようになろうよと。

私とゴキブリはなんだかんだで生き残った組である。

クビになった人、飛んだ人、辞めた人、色々な人がいる中で、なんとか出社できる貴重な存在なのだとゴキブリに説明した。

だから、一歩上を行くオペレーターを目指そうと言った。

獲得件数が全てではない。

この手の話にはゴキブリも真剣に耳を傾けていた。

仕事以外にやりたいことはないのか?と訊いたが『ポケモン』と言われてしまった。

歳も違えばこうも違うかと思ったが、そこはスルー。

謂わば、私は一日中仕事をしながらゴキブリの面倒を見ることに徹した。

いやいや、私ってどんだけいい先輩なんだよ!

自画自賛して帰宅した。

つまり、人間って表の顔だけではわからないということだ。

それは私自身にも言えることかも知れない。

 

 

表面だけで判断して欲しくないから、毎日くどくどと文章を書いては理解者を探しているのかも知れない。

本当は職場にもわかり合える人がいればいい。

生き残ったメンバーに共通しているのは、皆が真剣に仕事をしていることだ。

自社商品を自分で自腹切って買ってみて、使用感をお客さまに伝えたり、魅力をアピールしたり、とにかく必死なのだ。

勿論最初は他人だったが、今となっては誰が何と言おうと仲間である。

 

 

実は、全く別のところから別の案件のお誘いがあった。

交通費全額支給と言われ、我が家から比較的近い案件があると言われたのに答えを濁してしまった。

それはやはり仲間のことがよぎったからである。

彼らは私のことなどどう思っているか知らない。

しかし、私からしたら放っておけないのである。

どこに住んでいるかも、何をしてきたかも知らない。

大都会で仲間意識を持つヤツなんて、所詮は田舎者でしかないと言われようがしかし。

できることならこのまま共にプロフェッショナルを目指して行けたらいいのにと思った。

一抜けた、みたいなことはできなかった。

そういうところが私の長所でもあり短所なんだよな。

ま、元は道産子なんで。

今は埼玉県民なんで。

ましてや、昭和生まれなんで。

それでも大都会で踏ん張って生きているのだ。