六月から直接雇用になった。
念願の、念願の、念願の直接雇用。
私、この会社で頑張るしかない。
もうそれしかない。
私みたいなクセの強い変わり者を雇ってくれたんだから、結果出して恩返しをする。
もしかしたら、神からの最大限の計らいかも知れない。
神なんて信じたくないが、私に用意されたのは、社会人としてのポジション。
社長には言わなかったが、私は年齢的にも若者達の上に立ったっていいだろうに。
その方が、かえって皆もやりやすいのではないか?とも考えた。
一人でプチ祝杯をプロントで挙げてきた。
角ハイボールを二杯飲んだので、バタクソ疲れた身体には効いたようだ。
疲労感が一気に増し、何が書きたかったのかわからなくなってしまった。
とにかく直接雇用が決まって、私は一つの『納得』を得た。
このまま非正規雇用労働者でいいわけがない。
誰がどう考えたって、同じことを同じ場所でやるなら、直接雇用してもらう方がいいに決まっている。
これからのビジョンも見えてきた。
自宅から遠いし、無茶をしているのもわかるから、首を傾げる人も中にはいるだろう。
何にせよ、私の口癖は『疲れた』。
本当はこの話、書かないでしばらく経ってから報告しようかとも考えていた。
蓮さんは会社員になるのではなく、独立して欲しいと思っている人もいるからだ。
でもさ、ここまで来たら書くことと如何に両立するかを考えるしかないのでは?
独立したい気持ちも山々だったが、私には『商品』がない。
本を売っていたって、食べてはいけない。
直接雇用されることによって、月収幾ら稼げるようになるかはまだわからないが、おおよその目安はわかる。
確かに独立しようと思って、投資してきた分もある。
だが、私にとって仕事って、金を稼げればいいというものでもない。
何度も言っているが、私にとって一番大切なものは『居場所』、その次に実力を評価してもらうこと。
金は後から付いてくるもので、評価されていれば仲間は増える。
居場所がなかったらパフォーマンスも発揮できないというわけだ。
本当なら書くことで評価され、居場所を形成し、金も仲間も増えて行けばいい。
しかし、書くことに関してはもっと複雑な道のりが用意されているとしか思えない。
私にとっては考えられないようなものが評価される世の中。
もしかしたら、死ぬ間際、もしくは死後に芽が出るかも知れない。
だからと言って、それまで飯を食わないわけには行かない。
私が直接雇用になったと云うことは、どれほどの快挙かピンと来ない人もいるだろう。
そもそも非正規労働者が直接雇用になるのは、楽な道のりではない。
結果を残した者だけに与えられるものである。
私はこれまでの人生で、非正規雇用で苦しんできた。
正社員登用されたのはたったの一度しかない。
しかもその時は約四年かかった。
だからこそ、今回はチャンス到来したと感じて飛び込んだ。
この決断は間違っていなかったと思っている。
唯一の課題は、作品創りとの掛け持ちでしかない。
それについてはさ、今結論出さなくてもいいだろ。
いつ書くの?
作品はどうするの?
そうやって私を追い詰めるのはやめてくれ。
たった数ヶ月で直接雇用にこぎ着けたことを、まずは一緒に喜んでくれよ。
生半可な道のりではなかったのだから。
私が直接雇用されたいと話しても、歪んだ顔をしていた人達とはもしかしたら上手く行かないかも。
プチ祝杯も何となく寂しかったが、誰より会社の人は、私の直接雇用を喜んでくれていることだろう。
同僚なんて他人、いや、そうとも一概には言えない。
これから大事な仲間になって行くのだろう。
身体はしんどくても、納得する方を選ぶ。
命が惜しくないからこそできることである。
私ってヤツは、生き甲斐が全て。