nakanakadekinai's diary

単なる日記でもなければ、単なるエッセイでもない

一歩間違えれば

冴えない気持ちを引き摺るようにして会社へ行った。

とにかく暑かった。

ところが少々風邪気味だったこともあり、ジャケットを羽織って行った。

午前中はポツポツ件数は上がったものの、メソメソした気持ちは消えなかった。

そこへ現れた社長。

簡単なミーティングがあって、その後勇気を出してインセンティブと給料のことについて体当たりしてみた。

その結果、今度こそ納得の行く形になり、心から安堵した。

メソメソした気持ちも次第に消えて行った。

すると安定した気持ちは数字に繋がり、ノルマを達成することができた。

帰りに回転寿司に寄ってから帰宅した。

もう六月も終わる。

給料のことで社長と納得行く話し合いができたので、七月は新たな気持ちで仕事に向き合うことができる。

私が手にした物理的な居場所は、なんとか継続できそうで何よりだ。

何でもはっきり言ってしまって損をしがちな私だが、自分にはそういう欠点があるということを自覚するべきだ。

そして、少しでも気をつけて自分を不利な方向へ持って行かないことだ。

もっと分かり易く言うならば、嫌われないようにしなくちゃ。

ただでさえ私はキャラが濃いので、いるだけで目立つ存在。

だから黙っていればいいのである。

発言にはくれぐれも気を付けなければならない。

一歩間違えればクビに繋がる。

 

 

そんなこんなでなんだかまだまだ不安定な足元を固めることに精一杯。

もしかしたら愛だの恋だの言っている場合ではないのかも知れない。

でもなぁ、私には先輩はとっても魅力的に映る。

皆から人気のある先輩。

なんだか青春みたいだが、私が惚れるには訳がある。

結局一緒にいると居心地がいいのだ。

ユーモアセンスにも溢れているし、細かい仕事もできるし、面倒見もいいし、メンタルも安定してるし。

一回り年下とはいえ、頼もしいのである。

この会社に入って、先輩はまだ四ヶ月程度だそうだ。

あれ?私の方が古いじゃん。

いつ入ってきたか全く覚えていないが、気づいた頃にはもう重要メンバーになっていた。

いつも笑顔で目を見て挨拶してくれる珍しい人だ。

爽やかと云えば爽やか、ちょっと昔悪かったクズの香りがするのが良い。

私はと言えば、粉末コラーゲンの摂取により、おでこの皺が消えた。

なんと、コラーゲン不足だったのか!

年齢によるものだろうが、こんなに手軽に皺が取れるなんて。

だから最近は堂々と先輩の目を見て話せるようになった。

ビタミン剤を飲めば、シミが薄くなるだろうか。

一歩間違えれば消えるかも知れない。

 

 

あぁ、良かった。

心の震えが見事に止まった。

私ってよほどこの職場を辞めたくないのだろう。

人間の居場所は心の中にあると言う人もいるが、そんなのは当たり前でわかりきっている話。

社会の中に自分のポジションがあるとないでは大違いである。

必要とし、必要とされていること。

それが全てなのではないだろうか。

ミーティングではこんな話があった。

私を含め、この職場の新人勢は仕事を覚えるのが遅すぎると。

確かにそろそろ独り立ちしてもいい頃だ。

元ホストや先輩の手を煩わせるなと社長から言われた。

その話を聴きながら、やはり私はベテランと言われるようになるまで続けたい。

そして、人の見本になるようなプレイヤーになりたい。

もっと言うならば、指導の立場に立ちたい。

いずれは役職手当などをもらいながら、若い子達をまとめたい。

そうそう、顧客心理を学ぶ勉強会が七月から始まる。

日々ゼロスタートとの闘いは、これまた私にとっては長旅の一環だ。

安住の地に辿り着くまでは一波乱もふた波乱もありそうだが、船が沈んで溺れないようにしっかりと漕いでいたい。

社長の返答で、ここまで気持ちが安定するのだから社長って云う立場は責任重大である。

大人の私だって一歩間違えればグレるんだから。