nakanakadekinai's diary

単なる日記でもなければ、単なるエッセイでもない

バッドトリップ

私ってマジでヤバい!

合わない精神薬を飲んで、ガッツリ落ちてしまった。

周りからもどうしたの?って心配されるほどだった。

イライラも止まらないし、落ち込みは酷い。

薬が抜けてきた夜になって、ようやく何となく正気を保てるようになった。

先輩は休みで、私は元ホストの隣だった。

 

「なんかあったの?」

 

元ホストがガチで心配して、私に話しかけてきた。

 

「私、精神科行ってきました。だけど、薬が効かなくて」

 

いい歳こいて周りに心配かけるなんて、重症だ。

なんかあったの?って言われても、恋煩いだなんて言えるわけもない。

もはやここまで来たら、恋煩いかどうかもわからない。

ただ一つ言えることは、私はこうして一人で生活し、一人で生きているが、一人で生きられない人間だということだ。

このまま病状が悪化して重度の精神病患者になるか、先輩と上手く行って能天気に生きることができるか、瀬戸際のような気がする。

恐らく会社にいる殆どの人が、私の末期ぶりを見てこう思っただろう。

橋岡さんの寂しさは限界なんだろうな、ってね。

 

 

喫煙所でこんな話があった。

何やら映画の話だった。

タイトルは忘れたが、人間の仲間に裏切られて行く物語だそうだ。

友達の話になったので、私はこんなことを口走ってしまった。

 

「私なんてどうせ一人だし」

 

周りにいた人は、なんて答えていいかわからないようだった。

仕舞いには、今月二十二日にある花火大会の話に及んだ。

 

「私はどうせ仕事だから…」

「行っちゃえ、行っちゃえ、休んじゃえ、仕事なんて」

「だってどうせ一緒に行く人もいないし、一人で行ったって虚しいだけだもん」

「…」

 

またしても皆が返答に困り、喫煙所に重たい空気が流れた。

ヤバい、これ以上悪化したら強制的に会社を休まされるかも知れない。

もう、得体の知れない頓服薬は飲まず、イライラしても我慢することにしよう。

私はあまりの落ち込みに、危険すら感じた。

とてつもなく生きることが嫌になり、何もかもがどうでも良くなるのだ。

そして、必死に涙を堪えるしかなかった。

理由のない涙って、こういうことを言うのか。

一言で表現するなら、寂しさの限界なのだろう。

もうね、それ以外に言うことはない。

何度も言うように、人間は一人で平気な人と、そうじゃない人がいる。

かといって、こんな状態の女では先輩も可哀想だ。

もしかしたら、まさかのまさか、ライバルに負けるかも知れない。

全然いい女じゃないし、性格も悪いし気が強い。

しかし、人前で暗い顔をしたりしないということは、社会性はあるのかも知れない。

私は社会性には乏しいが、どちらかと云うと正直で寂しい時はメソメソ、楽しい時はおチャラけて解り易いタイプ。

どっちを選ぶかは先輩次第。

気苦労は捨てて、でんと構えておこうか。

恐ろしいことに、意欲が低下していて、仮に選ばれなくてもどっちでもいいやなんて思ったりもするのである。

本当は弾かれたら、死ぬほど辛いくせに。

 

 

得たいの知れない薬でバッドトリップをした気分。

いや、これはバッドトリップ以外の何物でもない。

喫煙所での私は完全にキマっていたのさ。

ただ、一日で懲りてしまった。

もし、ハートフルな気持ちになれる薬だったら、やめなかっただろう。

だとしたら、神のいたずらとはいえ、薬中になることからは免れたのだろうか。

もっと言うならば、薬なんて不要であり、抱きしめてもらったりすることの方が私にとっては重要なのだろう。

確かに一人を好んで生きている人は、もっとドライかも知れない。

私のように全身に『寂しいです』と入れ墨が入っているような人間は孤独に耐えられるわけがないのである。

先輩にフラれたら、どうやって生きて行こうか。

両極端な考えだけれど。