nakanakadekinai's diary

単なる日記でもなければ、単なるエッセイでもない

革命を起こせるヤツ

まさかの発熱。

どう考えても軽い熱中症だと思う。

いくらスポーツドリンクを飲んでも治らず、仕事中に上司の許可を得てロキソニンと栄養ドリンクを買いに行った。

頭痛は治ったが、手が震え、節々が痛くなった。

終いには喉がやられ、フラフラになってなんとか帰宅した。

ところが、絶不調の日に限って、成績は好調。

きっちりノルマを達成した。

 

「橋岡さんは具合悪いくらいの方がいい塩梅になる」

 

元ホストからそう言われたが、元気な時の私は押しが強すぎる時があるそうだ。

 

「橋岡さんって喧嘩強そう!」

 

は?どこをどう見たらそんなことが言えるのかさっぱりわからない。

 

「私のこと何もわかってないんだから!!」

 

私が元ホストにそう言ったら、周りは大爆笑だった。

どうやらタメ口ちゃんは、私に勝つことで必死なんだとか。

マウント取ろうとしてくるのが伝わってきてうざいということを元ホストに言った。

 

「もし橋岡さんが契約取れなかったら、悔しいでしょ?」

「自分との闘いなんで、悔しくはないもん」

「橋岡さんはそうかも知れないけど、あの子は違うんだよ」

「私は数字のことだけ考えている訳じゃないもん」

「あの子は橋岡さんに勝つことしか考えてないんだよ」

「契約件数ではもう勝ってるんだからいいじゃんね?!」

 

てかさ、私に勝とうなんて百年早いよ。

ゴキブリもそう、タメ口ちゃんもそう、私に勝つことしか考えていないようだ。

確かに営業力は二人とも凄いと思うが、それでも私には敵わない。

何故なら、二人とも努力の矛先を間違えているからだ。

私ごときを目標にする時点で、たかが知れていると思わんか?

どうせなら元ホストを越えるくらいの心意気があってもいいじゃないか。

事実、私くらいになると隣人に勝つことになんて興味を失ってしまっている。

無意味であるととっくに悟っているからだ。

せっかく負けず嫌い精神を持っているなら、頂点を目指せよ。

元ホストのように、一番じゃなきゃ気が済まない性分を活かしてトップに躍り出ろよ。

私ごときと張り合っているうちは、私には勝てない。

誰とも競わない私に軍配は上がるのである。

何度も言うが、自分との闘いなんだから。

 

「橋岡さんって落ち込むことあるの?」

 

は?またまたトンチンカンなことを元ホストが言った。

 

「ありますよ、契約取れなかったら家に帰って電気をつけない」

「マジで?橋岡さんメンヘラなの?本当に?」

「ちょっと大袈裟に言ってみた」

 

あまりにも皆が心配するので、追い打ちをかけてやった。

 

「どうせ私なんて人間扱いされてないんだ、ってなる」

「だから、メンヘラかよ?!橋岡さんは落ち込まないでしょ」

「いやいや、皆だって契約取れなかったら落ち込むくせに」

「俺は、契約取れなかったことがない」

「そういう人に限って、契約取れなかったら落ち込むのです」

 

私は落ち込んでいるようで、実はタフである。

帰ってきて投稿に書いてしまえば、ケロっと忘れていることがほとんどである。

ほらほら、こうやって書いているうちに、ロキソニンが効いて熱が下がったようだ。

ということは会社を休むこともなく行けちゃうわけで。

嫌なことがあっても翌日まで持ち込むことはなく、ゼロスタートに相応しくリセットされるのである。

そもそも、この会社、私が入りたての頃は静まり返っていた。

社長は皆を怒鳴り散らすような人だった。

ところが私が一肌脱いだらこの通り。

アットホームな職場に生まれ変わってしまった。

私ってムードメーカーと言おうか、革命を起こせるヤツと言おうか、一家に一台。

数字より何より重宝されるのだ。

ノルマはここにいる最低条件と自分を律しているから尚のこと。

こうして私の活劇は幕を閉じることがなさそうだ。