連日の飲み会でまたしても帰りが遅くなった。
タメ口ちゃんと飲んでいた。
会社を辞めるとのこと。
色々話しは聴いたが、止めなかった。
働くことだけは辞めるなよ、ニートにはなるなよと言った。
焼肉屋で先輩ズラして語っていたら、ついつい飲み過ぎてしまった。
道路で倒れ、カラオケ屋に担ぎ込まれ、一時間休憩したのち、電車に乗った。
先日は、元ホストと先輩と隣の会社の社長とスロットを打ちに行った。
全員が勝って、その後日高屋へ行って飲んだ。
めちゃくちゃ楽しかった。
私ってやっぱり元ホストのことを好きになってしまったのかなぁ。
私は、元ホストにこう言った。
「一緒にいると落ち着くの」
すると元ホストがこう言った。
「お互い様だよね!」
それを受けてこう言った。
「私、隣で笑っていれば安心する」
言い過ぎたか?と思うけど、事実だし。
酔った勢いとはいえ、それくらい言ってもいいだろうと思った。
次の日、朝、喫煙所で会った時に、不動産屋回りに着いてきて欲しいと言った。
いいよ、って言っていた。
タメ口ちゃんは、退職代行に頼んで辞めるらしい。
この子は続かないだろうとは思っていた。
私からしたら案の定だった。
最初から数字を上げたヤツは、数字を上げられない苦しみに耐えられないのである。
忍耐力が養われてないので、心折れるのも早い。
タメ口ちゃんは典型的な例である。
私みたいに、苦しみながら戦っているヤツは、そんじゃそこらのことでは心折れない。
最終的に勝つのは私であることをまた一つ証明したことになる。
ただ、スロットに行った時、皆から社長には気をつけろと言われた。
チンピラみたいな人だって。
恩着せがましいから、物件探しも自分でした方ががいいとね。
だから、私は元ホストに相談している。
もしかしたら一緒に暮らしたいのかも知れない。
私は寂しいのかも知れない。
元ホストと一緒なら、心が落ち着くのかも知れない。
穏やかさを得るかも知れない。
元ホストはペットを飼いたいそうだ。
一時間早く起きて散歩するそうだ。
だとしたら、私はペット可能物件を探した方がいいのかも知れない。
そんなことまで考えている。
タメ口ちゃんとは焼肉屋へ行って、お気に入りの白のカットソーがタレだらけになってしまった。
酔ったのでタメ口ちゃんの家に泊まろうかとも考えたが、大人しく電車に乗った。
念のため、元ホストにも連絡したが、もう寝てしまったようだ。
起きていたら泊まりたかったが、私はあいにく眠剤を持ってきていなかった。
だからどこへも寄らずに帰宅する道を選んだ。
一睡もせず、仕事へ行く勇気はなかったからだ。
やはり、眠剤は持ち歩かないとダメだと思った。
てか、恋っていうのは辛いものだ。
できることなら四六時中一緒にいたいからだ。
視界に入っていれば安心するのか?
そうじゃない。
やはり確信が欲しいのだ。
それって一緒に住めばよくね?
それもあって、不動産屋回りに付き合ってもらうのである。
ペット可能物件を探すのである。
私はペットなど欲しくはない。
でも長い目で見た時、それも悪くはないと考えているからだ。
社長は落胆しているだろう。
でも、人を見る目がなさすぎるとも思う。
数字を出せる人を片っ端から社員にして、皆、辞めている。
離脱率が高すぎる。
結局、残ったのは、元ホストと先輩と私だけ。
この三人で頑張って行くしかない。
社長は冷たい人間なので、辞めて行く人に情けはかけない。
私もそうだ。
しかし、私はタメ口ちゃんに一つお願いをした。
東京タワーに連れて行って欲しいと。
本当は、一人も女同士も嫌だった。
だけど、一緒に行く相手がいないのだから仕方ない。
東京タワーを眺めて、お互いの歩むべき道を噛み締めたいと思う。
タメ口ちゃんは事務職で、数字の世界から離れるそうだ。
私はまだまだこの会社で頑張りたい。
ただそれだけだ。