私ってもしかして最低な女だろうか。
元ホストが休みだったのをいいことに、先輩と飲みに行った。
そして十三日から先輩とキャンプへ行くことになった。
私って最低〜!!!
まだ付き合ってはいないが、裏切りではないのか?
先輩とプロントで飲んでから電車に乗って、元ホストにLINEした。
「今日は反省点だらけだ!」
「蓮ちゃんノルマ達成したじゃん!頑張ったね」
グサグサ。
この浮気女、元ホストごめんなさい。
先輩は先輩でこんなことを言っていた。
「蓮さんとは一回り違うけど、歳の差を感じないね。裏表がないから扱いやすいよ!」
扱いやすいと言われて喜ぶのは私くらいだろうか?
裏表がないと言われて更に嬉しく感じた。
「蓮さんって結婚願望あるの?」
「めちゃくちゃある!」
「あるんかい!」
「子供は産めないけど、一人に飽きた」
皆、言ってくれ!
元ホストではなく先輩にしとけって。
元ホストは桁違いのクズだって!
それにしても、先輩はなぜ私をキャンプに誘ってくれたのだろうか?
もしや、前からの私の予想が当たったのか?
そう、先輩も密かに私のことが好きかも知れないという読みが。
ホイホイ着いていく私も私。
次の日は仕事なので、朝、キャンプ場を出て会社へ向かう。
荷物はコインロッカーに入れ、漫画喫茶でシャワーを浴びて何食わぬ顔で出社する。
それが先輩との約束。
絶対に他の人に俺とキャンプ行ったって言うなよって。
言いません、言えません、絶対に!
一応なぜ言ってはならぬのかと訊いてみた。
「なんで言っちゃダメなの?」
「俺と蓮さん付き合っていると思われるから」
ホホォ〜。
ってことは私と元ホストは噂されてないってことね?!
悪いことする時ってテンション上がるねぇ〜。
私は誰からも噂されないまま、二人と仲良くしてやる。
待てよ?
ってことは元ホストと一緒に暮らさない方がいいってことね?!
先輩はこう言っていた。
「蓮さんの家、溜まり場になるだろうなぁ〜」
「マジで!いいよ〜!」
そう言いながら、元ホストと暮らせないやんと悟った。
つまり、最後に勝つのは私とガチで結婚できる男じゃないんか?
なんだか先が見えなくなってきた。
私的には、好きになったら一直線。
元ホストのことは大好きとはいえ、キャンプに誘ってくれる先輩も好きだ。
私は先輩とキャンプの話で盛り上がって、飲みに行ったりしたものだから、元ホストのLINEを放置していた。
ある意味駆け引きも大事ではないかという余裕さえ生まれた。
先輩と飲み終えて元ホストに連絡したら、心配していたようだ。
待ってましたとばかりに返信がきて、私はニタニタしていた。
私が家に着くまで起きていようと思っていたようだ。
私が帰宅したら安心して寝たようだった。
だから、元ホストが寝たのを見計らって、先輩にLINEした。
「今日はありがとう、キャンプでは宜しくお願いします」
すると、秒で返信が来てこう書いてあった。
「蓮さんとは仲良くなれると思う」
やめてくれ~!!
大人をからかうんじゃない!!
つくづく実感。
私ってクズであり、最低女であり、残酷なヤツだとね。
あぁ、でも元ホストを裏切るわけには行かないのだ。
かといって、元ホストが私を好きな確証はどこにもない。
こんなんだから、私は未だに一人なのかも知れない。
いや、こういう運命なのかも知れない。
神に試されているとも思わない。
もしかしたら、結局どっちとも付き合わないかも知れない。
とか何とか言いながらも、やはり心の中にいる人は決まっているようで。
だったら意味不明な行動取らなきゃいいのに。
昔、令和の矢口真里って言われたのを思い出したよ。