本日の売り上げ、55,100円!
やはりこの時期はどうしても落ちてしまう。
相変わらずのスパルタ指導の元ホスト。
それを見ていた社長が気遣って私に声をかけてくれた。
「あの言い方じゃ、覚えられないよな」
「確かにそうですね」
「キツすぎると思うだろ?」
「たまに病みますね」
「俺から注意しとくよ」
「でもあんな風に言われることで成長するのかなぁ〜と」
「いやいや、お前は優しく言われても成長するよ」
そっか!
そうやって見てくれているんだ!
それがどれだけ救いになったことか。
元ホストも社長に注意されたようで、後半は言い方を気をつけていたようだ。
珍しく、私が帰る時に『お疲れ様』と言った。
果たして社長が本当に注意したのかはわからないが。
明らかに私の元気がなかったのかも知れない。
何を隠そう、疲れ果てていたからだ。
なかなか再販獲得に繋がらないのもある。
それでも、何とかして一日二件の再販獲得ノルマは達成できた。
来月からはマジで地獄である。
まだ当分はこの会社にいることだろう。
年明けは社長の家で社員だけで飲むことになっている。
元ホストは来るかどうか未定。
行きたくないとは言っていた。
その真逆で、私は密かに楽しみにしている。
ボタン海老や本マグロを出してくれるとのこと。
調子に乗って日本酒が飲みたいが、帰れなくなったら困るので控えようかななどと考えている。
ところが、元ホストは絶対に社長を信用するなと言う。
その言葉を私は信じている。
だから、社長の笑顔には裏があると思っている。
騙されやすい私だが、信じるべき人とそうじゃない人を分けている。
私は海産物販売の仕事を得てから、多くのものを失った。
当然、人も離れて行った。
だから尚のこと、仕事に没頭するし、元ホストを大事にしている。
結婚していた頃もこれくらいの執着心があったら、旦那も満足だったかも知れん。
その代わり、今は、元ホストの心の安定に繋がっている。
毎日、真っ直ぐ帰るようになった。
お互いにとって、とても良いことである。
毎晩パチンコ屋へ行っていた人が。
私の一途さに安堵を得ているのだろう。
毎日やり取りしているのは元ホストだけ。
誰とでもLINEしているチャラい元ホストからしたら、最高の喜びなのかも知れん。
私のことを信じてくれているのがわかる。
何故かって、私が元ホストに絶大なる信頼を寄せているからだ。
元ホストは言う。
とにかく海産物販売の仕事を覚えて、後は俺に着いてこいと。
泣けてくるぜ。
私に厳しいのも私を連れて行きたいからだ。
『ここ』で覚えて、『先』で花咲かせれば良いと思っているのだろう。
花咲かす場所はここではなく、『先』なのだ。