入れ墨屋に来ている。
昨夜は元ホストは泊まりには来なかった。
体調が悪く、お互いにすこぶる疲れていたのもある。
早く寝て今日に備えた。
成績は良かったが、九万円売り上げても満足しなくなっている。
再販獲得できてなんぼ。
金メダルを獲得しても自己ベストじゃなきゃ納得しないオリンピック選手のように。
今は元ホストが彫ってもらっている。
私の腕に彫るデザインは彫り師さんが考えてきてくれた。
写真の『蓮の花』がそれである。
私は可愛いよりカッコいいを優先する。
洋彫より和彫、繊細より黒く塗り潰してある方がいい。
小さめより大きめ。
今風より古風。
気に入れば流行りじゃなくてもいい。
女性的より男性的。
恐らく二回に分けて彫ることになる。
来月また元ホストとここに来る。
デートが入れ墨屋って、私達らしい。
彫り師さん曰く、その人に合ったデザインというのがあるらしい。
私には最先端なものがいいと言っていた。
だが、私は時代遅れの黒塗りを選んだ。
どのような蓮の花になることだろう。
ここまで来ると、緊張はしない。
彫っている間は元ホストに見ていてもらうことにした。
帰りは軽く飲みに行きたいなぁ〜。
彼女でもない女に入れ墨を入れさせる気分はどんなものだろう。
自分のものになりつつある感覚があるのだろうか。
いずれは会社も辞めさせようとしている。
そして、私の家に住もうとしている。
まぁ、それは私が仕向けたことでもある。
アパートを探す時から考えていたこと。
ただ単にまだ身体の関係がないだけで、生涯を共にすることはもう決まっているように思う。
彫り師さんはあまり大きすぎない方がいいと言う。
それに従った方が良さそうだが、デッカく入れたい気持ちもある。
彫り師さんは黒塗りは反対している。
今日はスジ彫りだけになるだろう。
完成を楽しみにしていてくれ。
それにしても、元ホストに泊まりに来て欲しかったなぁ〜。
眠れないのは可哀想だし、元ホストは連休じゃないから仕方ない。
私は明日は元気だったら用足しへ行ってくる。
引越ししてから、やるべきことを放置してあるからだ。
寝て過ごすより、無理して出掛けた方がいいかも知れない。
入れ墨入れたら、人生変わるかなぁ〜。
夏は長袖着るようになるのかなぁ〜。