隣の会社の社長からこう言われた。
「入れたの???」
え!
なんで知ってるの?
元ホストからは絶対に誰にも言うなと言われたのに。
だから笑顔で首を振った。
隣の会社の社長は、頭の上にはてなマークができていた。
私はいちいち元ホストにその旨を報告しなかった。
正直者の元ホストのことだから、黙っていられなかったのだろう。
もしくは、私と一緒に入れ墨屋へ行くと言ったのだろう。
いつかバレることだが、首を振って正解だった。
黙っていられなかった元ホストのことは可愛く思えた。
隣の会社の社長からすると、お見通しだったのだろう。
私は首を振ったものの、真っ赤な顔でニタニタしてしまった。
元ホストが唯一心を開いている人だから、バレてもいい。
ただ、会社の人には絶対に言わない。
これは元ホストと私の秘密なのである。
写真はアップしたけどね。
雨の中帰ってきた。
めちゃくちゃ腹が減っていたが、刺身とシウマイで我慢した。
缶チューハイも一本だけ。
ストレスに任せて食うことをやめた。
寂しいからやけ酒することも無くなった。
元ホストとは別々の家に帰るものの、元ホストも真面目に帰宅しているので、私も寄り道しなくなった。
金の問題ではない。
待っている人がいると思うと、お互いに直帰できると知った。
私も元ホストもすこぶる疲れている。
それなのに、今まで毎晩のように寄り道しては寂しさを紛らわせていた。
それが無くなった。
元ホストはパチンコ屋へ行かなくなった。
これは奇跡的なことである。
毎日パチンコ屋へ行っていた人が行かなくなった。
私はパチンコを止めろと一度も言っていない。
ただ、心はそばにあることを伝えているだけだ。
いつか話したと思う。
お互いに更生の道を歩めるって。
元ホストは自分さえ直帰すれば、私も直帰することを知っている。
もっと言うならば、私のことを少しでも心配してくれているということ。
入れ墨は入れたが、こうして私達は更生の道を辿っているのである。
成績はまずまずだ。
休み明けにしては、ノルマを達成できて安堵している。
問題は明日だ。
でも、不調だとしても、元ホストが叱ってくれるという安心感がある。
放置はしないということだ。
蓮ちゃん!
何やってんだよ!
もっとこうしろよ!
的なアドバイスをもらえると思うと、ビビって出勤しなくて済む。
毎日ゼロスタートするということは、毎日恐怖との闘いなのである。
今月の成績は非常に苦しい。
どこかで、巻き返さないとヤバい。
会社では元ホストとほとんど喋っていない。
仕事のことだけだ。
ただ、思うのである。
この孤独感に耐えられる人しか相応しくないのだと。
ベラベラ喋る女を元ホストは警戒する。
最近の私は非常に大人しい。
それで良いのだと思う。
余りにも喋らないから逆に怪しまれてたりして。
一度でいいから隣の会社の社長と元ホストと三人で飲んでみたいなぁ〜。
しかし、元ホストが独立すれば叶う話。
今は聞き分けの良い子を演じるしかない。
会社でストレスが溜まる分、元ホストは私を連れ出してくれたらいいのに。