喫煙所で隣の会社の社長に入れ墨を見せた。
元ホストが見せろと言ったのだ。
ダウンジャケットを脱ぎ、肩だけを出した。
「おぉ〜綺麗じゃん!」
「誰にも言うなと言われてるの」
すると元ホストが言った。
「絶対に言うなよ!三人の秘密」
私は誰かに見てもらったことが嬉しくて、普段は大人しいのによく喋った。
「運命変わるから社長も入れなよ!」
「いや、ビビりだから入れられないんだよ」
「痛くないよ!」
「でもねぇ〜」
久々に隣の会社の社長と話せたことも嬉しかった。
私が元ホストの次に信頼できる人。
今度三人で飲みに行くという話になった。
来月だな。
今月は三人とも金欠だから。
仕事では、順調に再販獲得ができた。
なんとかノルマも達成することができた。
元ホストはやはり隣の会社の社長がいると楽しそう。
生き生きしているのがわかる。
色んな人と飲みに行きたいそうだ。
私はそんな元ホストを見守っている。
まさか、これから影の立役者になるとは驚きである。
私はいつでも主役。
そうやって生きてきた。
勿論、元ホストが独立しても、私は主役を張るトップ級営業マン。
だが、影では社長になる。
でも、元ホストを立てて、元ホストを支えなければならない。
実に人間性が問われるポジションだと思う。
うちの社長の奥さまでもない、隣の会社の社長の彼女でもない、私独自のポジションだ。
そそ、元ホストと相談して、右肩にもち吉の姿を彫ってもらうことにした。
一生背負う覚悟で入れなと、もち吉の話をしたらそう言ってくれた。
蓮ちゃんは右利きだから、右肩に入れなと言っていた。
だから私は元ホストにもち吉の写真と動画を送った。
可愛いねと、愛情を示してくれたのがすこぶる嬉しかった。
完成したらまた皆に見せる。