この疲れ、あり得ない!
ノルマは達成したが、めちゃくちゃ疲れた。
昼休みにうどんしか食べなかったからかも知れない。
あまりにも空腹だったので、近所の中華屋で麻婆豆腐を食べてきた。
その帰り、ドラッグストアでシャンプーやサプリ、トリートメントを買って一万円近く使ってしまった。
女はどうしてこんなに金がかかるのか。
男には意地のような美意識がわかるまい。
しかし、元ホストも美意識が高い。
毎月美容室でカラーやカットをしてもらっている。
私でさえ二ヶ月に一度のペースなのに。
次の休みは美容室へ行く。
髪だけは、自慢したいからだ。
極上のトリートメントは、日頃のご褒美でもある。
男って、意外と女の髪や肌を見ている。
美に無頓着な先輩すら、蓮さんは髪が傷んでいないなどとほざいているくらいだ。
前回美容室へ行った次の日に元ホストとデートしたのだが、全然違うと褒められた。
それがあまりにも嬉しくて、今回、ちょっぴり早いけど手入れしに行くのである。
金銭的な余裕があるわけではないが、来月は入れ墨を入れに行くし。
恐らく五万円くらい取られることだろう。
ま、来月はインセンティブがもらえないから、足りなくなったら元ホストに何とかしてもらう。
いよいよバイトが始まるようだし。
バイト先で私を受け入れるための準備が着々と行われているとのこと。
元ホストの独立準備も着々である。
今日は元ホストと二人きりの勤務だったから、帰りにラーメン屋でも行こうと思っていた。
しかし、隣の会社の飲み会に呼ばれて嫌々参加しているようだ。
飲み会三連チャンとのことで、しんどいと言っていた。
私はもはや早く寝るのに慣れ、毎日二十二時半には寝ている。
今夜もこれを書き終えたら即行で寝る。
感触としては、一月より二月の方がまだ売りやすい。
流れる空気も先月よりは重たくない。
三月、四月、五月とさらに軽やかになって行くだろう。
この調子で行けば、案外独立は早いかも知れない。
元ホストはそれに向けて、めちゃくちゃ努力している。
もはやギャンブルから完全に遠ざかっている。
私は私で底知れぬ寂しさから解放された。
そして、安定した生活が送れるようになった。
元ホストもきっと寂しかったのだろう。
そのことが痛いようにわかる。
二人で一つの目標に向かうことで、自然と更生の道を歩めることとなった。
恐らく、元ホストは私を受け入れる体制作りも考えているだろう。
私にできることは毎月少しずつ家の物を買って、居心地の良い部屋にすること。
そして、稼ぐことだ。
頭のいい元ホストは金が入ってくる仕組み作りをもうやっている。
私にはそういうことができないので、コツコツ成績を伸ばし、インセンティブをもらう。
でもなぁ〜、努力のご褒美がインセンティブとヘアトリートメントだけじゃ寂しい。
私がこんなにも元ホストに抱かれたがっていることを、元ホストは知らないのだろうな。