半休で美容室へ行ってきた。
半端なく綺麗なストレートヘアになったので、帰るのが勿体無くて、すしざんまいでレモンサワーを飲んでいる。
給料日前だっていうのに金を使いすぎたから、ヤケクソになっている。
これだけ働いているのに毎日スーパーの刺身っていうのも哀れな気がしたからだ。
その代わり春服を買うことができなかった。
すしざんまいに来なければ、サマーセーターの一枚くらい買えたかも知れないが、自慢のストレートヘアを世間の人達に見せびらかせたかったのだ。
残念ながらカウンターには私だけ。
まぁいい。
翌日は休みなのでこの際ゆっくりしてから帰る。
次回は縮毛矯正パーマと、髪質改善トリートメントをしてもらうことになった。
美容師さんからそのようなアドバイスをもらったからだ。
今日、社長から数字について褒められた。
想像以上の数字を叩き出しているからだ。
この調子で頑張れ、とのこと。
油断はできません、などと私は抜かした。
事実、油断はできない。
しかし、目標達成した暁には嬉しいことしか待っていない。
元ホストからも褒められるし、美味いものが食えるし、綺麗になることもできる。
そして何より自信持って生きることができる。
仲間から慕われる。
信頼もされ、期待もされる。
笑顔が増える。
その証拠に、私は午前中だけで四万二千円を売り上げて会社を出た。
蓮さんカッコいい!の声が飛び交った。
美容室で鏡に映る私はどこか誇らしげで、美容師さんにも大らかな態度で接することができた。
お勧めのシャンプーを大人買いし、また宜しくお願いしますと満面の笑みで挨拶して店を出た。
昔からこんな大人の女性に憧れていた。
余裕があるから周りにもその余裕を振りまけるのだ。
元ホストにもガタガタ言わないのは、私に根拠のない自信と余裕があるからかも知れない。
束縛しないし、詮索しない。
根拠のない自信は、数字を上げることで一つ根拠ができることになる。
元ホストが自信に満ちているのは、仕事ができるからだ。
それともう一つ、最近の元ホストは自分の外見をやたら磨くようになった。
私もいい服は着れないものの、このストレートヘアのために戦っているのである。
女の勝負心は髪に表れる。
とは、私が勝手に考えたことだ。
私と出会ってから元ホストは格段にカッコよくなった。
サングラスもバッグも財布も新調し、毎月入れ墨屋へ通っている。
そういやぁ、私もネックレスも財布も買ってもらったのだから、自力で綺麗にならなくては。
そんな気持ちで美容室へ通っている。
回りくどく言ったが、元ホストにとって自慢であるために、私は美容室へ行くのだ。
また来月。
いや〜、金は使ってしまったが、美容室の後の寿司屋、気分最高である。
元ホストにはやっぱり報告しなきゃだよな。
蓮ちゃんは頑張っているから贅沢していいよ!元ホストなら絶対にそう言う。
むしろ、私が贅沢すると喜んでくれる。
その分頑張れと励ましてくれるだけだ。
その辺が、今までの男と違う。
今までは贅沢したら叱られたもんだ。
まぁ、私も私で、これで稼げるという証明ができなかったからかも知れないが、男なら太っ腹でいいのにと思っていた。
前にも書いたが、元ホストとは金銭感覚や価値観が似ているのだ。
だから、私はこんなに気難しくて鈍感な男と仲良くできるのだろう。