もしかしたら、私、戦力になれるかも知れない。
朝、バイトへ行ったらシフトが変更になると言われた。
「橋岡さん、日、月、火の三連休の代わりに、水曜日から土曜日までの四連勤でいいかしら?」
「あ、いいですよ!」
「というのもね、私達と同じシフトにして徹底的に教育するようにと店長から言われたのよ」
マジかよ!
徹底教育って云うことは、育ててもらえるということだ。
今は総菜コーナーとパン屋さんを掛け持ちしているが、いずれパン屋さん一本になるとのこと。
つまり独り立ちする日が来るかも知れないということだ。
ワクワクしてきたぞ!
ぶっちゃけ、パン屋で独り立ちして何の意味があるんだと思う方もいるかも知れない。
いやいや、やるからには戦力になることを目指すのが教えてくれている方々への愛ってもんだろ。
そう、これは金の話ではなく愛の話だ。
こう書いても、はぁ?みたいな方もいるだろう。
勿論、職場の人は私が困った時に助けてくれる友人ではない。
しかし、真剣に私を育てようとしてくれているのが私にはわかる。
これは綺麗事ではない。
愛情を与えてもらったら愛情で返す。
つまり、仕事で返すと云うことだ。
それは私なりの「恩義」だと思っている。
恩義って古臭い?
まさか死語ではないでしょう。
恩義っていうのは報いるべき義理のこと。
人からもらった情けや恩、恵を返すことを言うのだと思っている。
職場の人は、自分達が楽したいから私を育てているのではない。
育ててあげないと「私」が自分で困ることになるとわかっているから、一生懸命教えてくれているのだ。
私のヤル気が伝わったとは思わない。
何故なら、まだまだ不器用で手が震えたまま緊張しながらやっているからだ。
それでも私は助手のままではなく、一人前に育ててもらえるチャンスがやってきたのだ。
このチャンスはものにするしかない。
死んだ爺ちゃんだったら、とにかく執筆よりも何よりもパン屋の仕事を頑張りなさいと言うだろう。
目の前にあることを一生懸命やることで人生は変わると教わった。
だから私は先のことをあまり深く考えずに、目の前にあることに全力投球してきた。
その結果、いつしか自然と道は拓けてきた。
コロコロと転がり続ける人生、まさにロックンローラーでしょう!!!
パン屋の仕事は安くてキツイ。
神様はまたもやそういう仕事を私に与えてくれたのだ。
それを嫌がらず、文句を言わず、一生懸命やっていたら母親から電話が来て仲直りできたのだから、やはり間違いはないだろう。
両親に誕生日プレゼントを送ったら、お礼ということでジンギスカンを貰った。
届いたことを母親にメールしたら、「独りで食べてね!」と返信がきた。
私は可笑しくて可笑しくて、旦那の前で吹き出しそうになるのを必死で堪えた。
旦那には食べて欲しくないのね。
私の女友達みたいだな、と思った。
私の女友達(男友達はもっとそう思っているはず)は、蓮ちゃんにあげたものなのだから、蓮ちゃんが一人で食べて飲んでね!と言う。
そりゃ、一人でコソコソ食べたいわ。
母親もパン屋の仕事を頑張りなさいと言っていたなぁ~。
手に職を付けるって良いことだよ!と言ってくれた友人もいたなぁ~。
まぁ、人に言われたからどうこうじゃなくて、とにかく頑張ろう!
今が一番しんどいが、今が一番楽しいのかも知れない。
貴重な経験をしているのかも知れない。
自分に誇りを持て!って母親も言っていた。
誇りを持つって、なかなかできることではないとは思うが、念頭に置いておこう。
ヨシ、今日は朝から新宿で打ち合わせ。
ARB聴きながら行こうかな。