私は日々のこういった文章は、本を書くための練習として書いている。
文体がいつもと違ったり、表現の仕方が変わったりしたらこう思って欲しい。
「蓮さんは小説を書く練習をしているのだな」
そうそう、私は小説を書く練習をしているのだ。
今年の夏は、編集一色になりそうだ。
『破壊から再生へ』の校正は一年掛ったが、今回は一ヶ月で終わらせるつもり。
その代わり、ガッツリ編集して、より親しみやすい文章を目指す。
「蓮さんならできますよ!」
その言葉を信じて、頑張ろうと思う。
「私ならできる、とにかくやるしかないんだ!」
心の中でそう叫び、決意を固めた。
パン屋のバイトは土曜日は人手不足ですこぶる疲れた。
おまけに厳しい先輩と同じシフトだったので、急かされて気持ちまで疲れてしまった。
「橋岡さん、急いで頂戴。今日は人がいないんだから」
きっと責任感の強い人、若しくは私がトロイのでイライラするかのどちらかだ。
トロイながらも私としては全力で仕事を片付けた。
不慣れなことも多い中、必死に作業を行った。
それでも先輩は不満気だった。
「私、これでも精一杯やっているんだけどな~」
腹の中ではそう思っていたが、怒られないようにクタクタになるまで働いた。
終わった瞬間、ドッと疲れが出た。
「ふぅ~、やっと終わった。。。」
すると、更衣室で先輩と一緒だった。
「橋岡さん、急いでもらわないと午後の人にも迷惑が掛かるし、ついつい言ってしまうのよね。急かして申し訳ないとは思うんだけど、本当に間に合わないから」
「そうですよね、これでも頑張っているんです」
よっぽどそう言いたかったが、敵を作ってはならないと思い、踏み止まった。
「すみません」
少々凹んだまま私は職場を後にした。
前を歩く先輩の後ろ姿を眺めながら、追い付かないようにトボトボと歩いた。
空は青く、太陽はギラギラと輝いていた。
「日傘を持って来て正解だったな~」
そんなことを考えながら家路に着いた。
働いて給料を貰うということは、並大抵のことではない。
況してや、何故か私は未経験の職場ばかりに当たる。
自分の宿命を振り返った時、きっとこれからも別のパン屋で働けるようなラッキーなことは起こらないだろうと思った。
一から仕事を覚え、慣れた頃に別の仕事が立ちはだかる。
そういう運命にあるのだ。
帰宅してコーヒーを飲みながら、私はこう考えた。
「優しい人に甘えてはならない。厳しい人に認められてこそ一人前なのだ。私って偉いなぁ~」
我ながらそう思った。
労働とは、汗と涙の結晶である。
このお金は有意義に使わなければならない。
あぶく銭とはわけが違う。
同じ十万円でも、まるで宝石のように輝いているのだ。
つまり、価値が高いということだ。
この歳になって労働の美学を語るつもりはなかった。
もう労働からは離れて、デスクワークのみで生きて行けるものだと思っていた。
ところが神様は、私に労働を命じた。
命じられた通り生きるのが、運命に出会う一番の近道だと思っている。
要は、目の前に差し出されたことの意味を考えながら体当たりでぶつかるということだ。
況してや、低賃金での重労働を命じられたことは笑ってしまうほかない。
ただ、私のスローガンは「稼ぐこと」。
稼いで自分の価値を更に高めたい。
とはいえ、清貧の美学を重んじている私は、金など要らない。
何が言いたいかと云うと、稼げる力が欲しいのである。
認められたいでもなく、富が欲しいでもなく、実力を身に付けたいのだ。
私の中には奉仕精神が強くあるのだが、それは弱点でもあるとのこと。
「やはり稼ぐ力を身に付けて、それを自信に変えよう!」
その気持ちが強くある。
何のために神様は私に低賃金労働者をさせているのかわからない。
考え方に依っては、労働者の中のヒーローになるためかも知れない。
若しくは、運命に辿り着くのに最も近道だからかも知れない。
「そう思わないとやってられないでしょ!」
そう呟きながら、パソコンを眺めている。