nakanakadekinai's diary

単なる日記でもなければ、単なるエッセイでもない

望んで就いた仕事ではないが

パン屋さんで仕事をしていて珍しく良いことがあった。

私が売場に出て、お手洗いへ向かう途中だった。

 

「いらっしゃいませ!こんにちは」

「あら、こんにちは!貴女、いつも感じがいいわね」

「わぁ!ありがとうございます!」

 

ヤバい、褒められちゃった!!!

確かに、私は売場に出たら、挨拶を徹底している。

仕事はとろくても、お客様に挨拶はキチンとできる人間で在りたいと思っているからだ。

その姿をちゃんと見てくれる人がいたということ。

褒められたということ。

誰かに言いたくて仕方がなかったので、書くことにした。

 

最近、パン屋さんの話がご無沙汰だったので、たまには書いてみようと思う。

今月が終わり、来月に入れば試用期間が終わる。

それにしてはまだまだとろいのだが、確実に指摘されることは少なくなってきた。

細かいミスはまだあるものの、大それたものではない。

何度も叱られているうちに、自然と身に付いてきたようだ。

一番の楽しみは、やはり売場に出てお客様と接することだ。

まだ一人一人の顔は覚えられないのだが、このパン屋で一番愛想のいい店員になっている自負はある。

もっと細かい気配りができるようになれば、「中番」と言って、昼からの仕事も任せられるようになる。

私からすると「中番」は未知の世界なので、楽しみだ。

「中番」ができるようになるのを目標に、任せられている仕事を頑張ろうと思っている。

 

今は、早朝に出社し、お総菜コーナーの品出しをしてからパン屋さんへ行っている。

「中番」をやるようになったら、出社時間が遅くなる分、帰りが遅い。

日中、自分の仕事ができなくなる代わりに、朝から仕事をすればいい。

例えば、この文章も朝書くようになるかも知れない。

それはそれで私にとっては都合の良い話でもある。

 

今、任されている仕事は、パンの袋詰めとラベル貼り。

そして鉄板の掃除と洗い物。

揚げ物。

日付の確認と値引きシールを貼ること。

こう書くと、いかにも単純な作業に見えるかも知れないが、身に付くまでには相当な時間を要した。

最近は、流石にスピードを要求される。

スピーディーに作業ができるようになれば、これらの仕事を四時間で終わらせて帰ることができる。

残業禁止の職場なので、いつも終わらなかった分を「中番」の人にお願いして帰ってくるのだ。

 

「橋岡さん、もうちょっと頑張ってスピードを上げてくれる?自分の仕事は時間内に終わらせて帰って欲しいの。中番も大変なのよ」

 

少々体調が悪かったのだが、私としては猛スピードで仕事をした。

それでも終わらせることができず、「中番」の人にお願いして帰ってきた。

帰宅してから、しばらく考えていた。

どこをどうすれば、もっとスピードが上がるのだろうかと。

恐らく、ラベルの番号を丸暗記することだと思った。

尚且つ、多少雑でも菓子パンの形が崩れることはないだろうと思った。

休み明けは、皆がビックリするようなスピードで仕事を終わらせてから帰れるようにしたい。

直ぐには無理なので、それを今月の目標にすることにした。

 

なんやかんや言っても、仕事は仕事。

私が仕事を覚えて行けば、皆も優しくなるだろう。

一人前のパン屋さんにならなければ、「卒業」の日は来ないだろう。

どんな仕事もそうだ。

完全燃焼して、初めて終わりが見えてくる。

呑気に時給を稼いでいるのとはわけが違う。

体当たりして、習得して、完全燃焼することに意味がある。

最低でも一年、もしかしたら三年かかるかも知れない。

私からすれば、望んで就いた仕事ではない。

だが、運命的なものは感じる。

この土地にいる間、ここで修行させられているのだと。

 

結局旦那のクレームの件は、旦那がフェードアウト。

うやむやなまま終わってしまった。

そんなことだろうとは思ったのだが。

 

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