駅を出た私は、眼科で戴いた地図を元に散々歩いてMRI専門の病院を探した。
ところが、御茶ノ水駅周辺を三十分歩いても見つからないので、交番へ行った。
すると、なんと駅前の路地を曲がったすぐそこだった。
やれやれ、未だに私は携帯ナビも使えないのである。
三十分歩いたせいか、汗だくで、マフラーとレッグウォーマーを外した。
MRIは、二十分程度で終わったのだが、私はまさかの夢の中。
心地良い眠りの中、検査を終えることができた。
金額も九千円と伺っていたが、七千五百円だったので得した気分になった。
どうしても煙草が吸いたかったし、コーヒーを飲んで目を覚ましたかったので、ロッテリアに入った。
そこで、心配していた母さんに報告の電話を入れた。
検査結果は出たのだが、私が勝手に封を開けて見てはならないと受付で言われた。
つまり、眼科の受信日である来月六日までは結果がわからないということだ。
あと一ヶ月あるが、脳の異常など全く心配していないので大丈夫だ。
無論、結婚してから旦那の転職の際、激しい頭痛に襲われて、MRIを受けたことがある。
二年前の話だ。
その後、怪我したり、頭をぶつけたりしていないので問題ないと思う。
母さんとの電話を終えて、ロッテリアを出た後もメトロ丸ノ内線の乗り場に辿り着くまでにえらい時間が掛かった。
JR乗り場へ行ってしまい、駅員さんにスイカをリセットしてもらったりした。
無事に草加駅まで辿り着き、バスに乗ったらもう家に着いたようなものだ。
バスの中からは夕陽に照らされた紅葉が見えて、とても綺麗だった。
いつもスマホばかりいじっていて、風景なんてあまり観ないのだが、不思議と癒されて帰ってきた。
ポストの中には、注文していた本が届いていた。
開いてみると、そんなに難しそうな文体ではなく、私でも読めそうだった。
今月二十日にイベントがあるので、二週間で読み終わらせたいなと思っている。
ここ最近、ずっとこんな感じでせわしない日々を過ごしているのだが、体調を崩さないことに対して自分でも驚いている。
疲労感はなくはないが、動き回っている割には疲れていない。
やはり『金』を中心に考えるのではなく、自分のベクトルが向かう方向に進むのが一番いいように感じる。
面白いことに、バイトを捨てた途端、私は好転し始めている。
なんだか次から次に色んなことが起こり、いつもバタバタしている印象を与えているかも知れないが、そんなことはない。
むしろ、次々と良い方向へ向かっている。
物事が回り出す時と云うのは、実にスムーズに回り出すものだ。
動かない時は蚊帳の外に置かれたように、微動だにしない。
来年に向けて、この秋は実りの秋になりそうだ。
実は長年の夢だった『海外出版』」の話が動き出してくれた。
『破壊から再生へ』は発売からもうじき一年が経とうとしている。
多くの方が読んでくれ、力になってくれた。
国内販売だけでは勿体ない。
どうにかして海外で出版したいと願い続けていた。
それが、叶うことになった。
翻訳家の方にはオッケーを戴き、海外の出版社と繋いでくれる会社とも出会うことができた。
恐らく二年後になると考えている。
表紙も考えなければならない。
その前に、来春には私の新作が発売となる。
たまたま旦那が『井上陽水』のライブをテレビで観ていた。
陽水という人はミュージシャンにならなかったら、今頃何をしていたのだろうかと考えた。
いや、きっと生まれ変わってもこういう人はミュージシャンになるのだろう。
同じように、蓮さんから文章を取ったら何が残るんだろうか?とささやかれるような人間でありたい。
きっと生まれ変わっても、蓮さんは文章を書いているよって。
神様がこの世に私を誕生させた意味。
それを感じて生きていきたい。