達成感というより、安堵感だろうか。
心地良い疲れと共にこれを書いている。
一つの終わりと共に停滞していたものが一気に動き出しそうな予感がする。
一日くらい読書や映画鑑賞をしたいのだが、私は速攻で『ロックンローラー』の制作に入る。
来春の発売までまだ余裕があるとはいえ、モタモタしている時間はない。
今年のクリスマスイブは、酒場でYouTubeの収録をする。
『チーム蓮』のパートナーでもある徳田秀義氏のエッセイ『お兄ちゃん僕の人生はドラマみたいだったよ』の発売記念特別企画だ。
私個人的には、酒場収録というのが楽しみで仕方がない。
私にカフェやレストランは似合わない。
やはり小汚いけどめちゃくちゃ美味いつまみを出す酒場がピッタリだ。
やっぱビールか、寒いから熱燗か?
ところで、北越谷駅で人身事故。
電車が止まって帰れなくなった。
仕方がないので、北千住駅でしばらく待機するしかない。
たぶん旦那が北千住駅まで迎えに来てくれるだろう。
その間にこれを書いてしまおう。
帰りが遅くなった日に限って人身事故で電車止まるとかなくない?
でも、これは案外ラッキーなのかも知れない。
夜遅くに電車に乗ることなんてないからね。
何か発見があればもっと良かったのに。
目に映るのは大渋滞の道路と溢れんばかりの人だ。
バス停も歩道橋も、人、人、人。
こりゃ車に乗ってからが長そうだ。
そんなことを考えながら、歩道橋にある喫煙所を眺めていた。
一服したいが、迎えが来たらすぐに乗り込める態勢でいなければならない。
案の定、交番の前にジムニーが停まっているのが見えたので走って飛び乗った。
もう時間が遅いので何か食べる気にはならなかったが、ビールだけは飲みたかった。
かといってつまみを作るのは面倒くさい。
目玉焼きでも焼こうかなぁ、なんてドアーズの『モリソンホテル』を聴きながら思った。
コロナ禍は明けたとはいえ、二十一時半を過ぎたらコンビニくらいしか開いていないようだ。
恐らく国道四号線をひたすら走っているようだ。
ガソリンスタンドの前を通った時、「ハイオク百六十一円」の文字に驚いた。
そんな時代なのね。
結局、コンビニにも寄らず自宅に着いた。
時計を見たら二十二時。
もういいや、そう思って空っぽの胃の中にビールを流し込み、チョコレートをつまみにトリスウイスキーハイボールを飲みながら、この投稿の続きを書いている。
部屋の中が冷え切っていて、コートが脱げない。
しかし、これさえ書き終われば、化粧を落として寝るだけだ。
冷蔵庫の中は閑散としていて、目ぼしいものが何もなかった。
カップラーメンを食べれば?と言われたが、この時間に食べる代物ではない。
空酒したなんて誰かに怒られそうだが、時間も時間なので仕方がない。
「明日はお義母さんと食事に行くからお金ちょうだい」
すると、ギョロっとした目つきに変わって、下から覗き込むようにこちらを見た。
「向こうから誘ったんだから、お袋が出すに決まってんだろ」
出た!
いやいや、そういう問題じゃなくて…と言いかけて止めた。
争いごとは不毛だからだ。
「これだから、私の決断は揺るがないのよね」
そう思いながら、黙って遠くを見ていた。
だけど、これだけは伝えた。
「迎えに来てくれてありがとう」
それに対して、うん、とだけ言っていた。
久々にテレビの音が鳴らないリビングで二人でいるような気がする。
同じくウイスキーを飲みながらスマホでゲームをしているけれども、何を考えているのかなんて私にはわからない。
万が一のことを考えて、私に金を預けておくのが普通じゃね?
そんなことも言わず、無駄な気力を使わないことにした。
実母の言う、「アンタが悪い」っていうのはこういうところなんだろうな。
「次はかかあ天下になれる人にしなさいな」
そういうことだよね。