橋岡蓮 ’s diary

単なる日記でもなければ、単なるエッセイでもない

直行直帰したくない

近所の居酒屋で一杯引っ掛けて帰ることにした。

始めて入る店だったが、なんせ高い。

隣にある鶏肉居酒屋の方が遥かに安い。

美味いか不味いかと訊かれたら、さほど美味くもない。

しかし、あまりにも空腹だったため思わず入ってしまった。

自宅でパスタを食べても良かったが、夜に炭水化物を摂るのも気が引ける。

かと言って、スーパーのお惣菜で済ませたくない気分だった。

美容室が案外安かったので、一万円のお釣りで立ち寄ってしまったわけだ。

高いからあまり頼めないが、混雑するまでゆっくりさせてもらうことにした。

そうでもしないと、損だからだ。

頼んだものは、ホタテ刺身とぽんじり焼き。

店内は混雑している。

まだ夕方にもならない時間だっていうのに、酒好きな人は時間なんて関係ないんだな。

この店のどこが良くてこの人達は訪れているのだろう。

恐らく私は二度と来ないと思う。

他にも安くて美味い店は山ほどある。

 

 

真っ直ぐ帰らなかった理由はもう一つある。

アパートに一人でいると、余計なことを考えてしまうからだ。

無論、まだ時間が早かったというのもある。

アパートの冷蔵庫の中身を想像した時、無性に帰りたくなくなった。

卵とパスタしかないからだ。

卵はあるが、オリーブオイルがない。

オリーブオイルを買って、自宅で卵焼きでも作れば良いのだが、ぶっちゃけ面倒くさかった。

ハムでも買えばいいのかも知れないが、とにかくスーパーへ行くのが嫌だった。

だから、赤提灯の灯りに釣られて入ってしまったのである。

 

 

美容室では、引越しと離婚の事実を伝えた。

悪口など一切言わず、離婚理由についても触れなかった。

ただ、引越し先はなんとなく伝えた。

遠くから通ってくれたことに対する礼を言われたが、美容師さんは私に何も尋ねなかった。

だからこそ信頼できるのだ。

ちょっと通うのに不便になったが、これからもお願いしようという気持ちになった。

海外出版や『ロックンローラー』の話や病院通いの話もして、なんだかとても安堵した。

やはり誰かに聴いてもらうって大切だなと思った。

 

 

なんやらボケっとテレビを見てみると、北風が強まるそうだ。

幸い金曜日まで用事はない。

自宅での作業になる。

なるべく早く起きて仕事がしたいのだが、なかなか早起きできない。

五時半に起きて投稿をアップはするのだが、二度寝してしまう。

完全に気が緩んでいる証拠だ。

もっと自分に厳しくならねばならないとはわかっているのだが、私に強制する者がいないとダラけてしまう。

朝起きると、なんとも言えない自己嫌悪に襲われる。

朝起きて、ヤクルトを飲み、コーヒーを淹れ、一服する。

ふと気付いたのだが、煙草を吸う量が激減していた。

多少なりともストレスから解放されて、落ち着いたのかも知れない。

酒量もかなり減った。

それなのに起きられないのは、やはり寝心地が良すぎるのだろう。

開き直って、寝ていればいいのかも知れない。

 

 

ここまで書いて、男梅サワーと角煮を頼んだ。

なんと、この店が流行る理由がやっとわかった。

実に美味である。

思い切って追加注文して正解だった。

あぁ、贅沢だ。

いや、これは投稿のネタ代だ。

そう思うしかない。

まさに、孤独をエンジョイしている。

こういうことでもないと、やっていられない。

毎日直行直帰だったら、離婚した意味もない。

よかよか。

この店を、レパートリーの候補に入れてやろう。

美容室帰りで気分が良く、真っ直ぐ帰りたくなかったのだ。

こんな時くらい自分を許そう。

 

 

結婚って不思議な安心感があった。

だけど、自分がどんどんダメになって行くような危機感と隣り合わせだった。

自堕落になるのではなく、いわば「老ける」ということだ。

女であることも忘れがちになるほど、自意識が低下していたように思う。

逆に女として扱ってもらえなかったので、女としての自信を喪失してしまったとも言える。

取り戻さなくてはならない。

さて、そろそろアパートに帰ろうか。