nakanakadekinai's diary

単なる日記でもなければ、単なるエッセイでもない

決して多くは訊ねない

 

無性に食欲があって、ソワソワしている。

口寂しいので、煙草ばかり吸ってしまう。

本の発送がてら、コンビニで夕飯と朝飯を買った。

オムライスが食べたかったのだが、高かったので冷凍パスタとおにぎりを買ってきた。

揺るかやな風が気持ちよく頬に当たり、マフラーをして歩いているとダウンジャケットの中が汗ばんでくるのを感じた。

そういえば、昨年買った手袋はどこへ行ったのだろうか。

もう少し遅い時間だったら夕焼けが見れただろう。

恐らく十℃前後といったところだろう。

今年の冬は寒いと聞いていたが、そうでもないような気もした。

これからが本番なのかも知れないが。

コンビニからアパートまで帰る間、食べることばかり考えていた。

自宅には戴き物の日本酒がある。

さばのアヒージョもあったはずだ。

一体全体、どうしたんだか。

仕方がないからまた煙草に火を付ける。

 

 

人に限らず出来事も、時が経てば嫌なことを忘れて懐かしく感じたりするものだ。

なんであんなことで怒っていたんだろう、みたいな。

私に限らず往々にしてそういうことってあるような気がする。

かといって「気分」で人を振り回すようなことはしてはならない。

会いたくて会いたくてしょうがなかったのではなく、たまたまふと思い出して懐かしく思っているだけなのだから。

そう強く心に誓っているものの、自由気ままな魂がふと連絡したくなったりする。

自分から振っておいて「元気かな?」というのはあまりにも自分勝手なような気もする。

相手は物じゃないんだから。

そしてどうせまた同じことで嫌になり、同じ理由で別れるのだから。

早く年が明けないかなぁ。

師走は未練たらしくてダメだ。

寂しいのか?

いやいや、たぶんそういうことではない。

単なる気まぐれに過ぎない。

 

 

そんなことをしているより、もっと大事なことがあるではないか。

ピンチの人に手を差し伸べることではないだろうか。

きっと私みたいなヤツを選んだのだろう。

何か閃くものがあったはずだ。

もしくは、天がそう仕向けたのだ。

私なんて特に何ができるわけじゃない。

金銭面でも、生活面でも、栄養面でも助けてやれない。

唯一できることは何かと考えた。

それは、多くを訊ねないことだ。

何故なら誰しも事情があって、説明すれば切りがないけど蓮さん助けてという悲鳴だけが聞こえたからだ。

それならば、私にできる限りのことはしようと思った。

過去に目を向けるのではなく、現在進行形が肝心なのだ。

多くの人はやめなさいと言うかも知れない。

蓮さん大丈夫なの?と言うかも知れない。

もっと慎重になってと言うかも知れない。

理由を訊いた方がいいよと言うかも知れない。

だが、私なら何も知らないのに手を差し伸べてくれた人のことは大切にするだろうと思った。

なにも大切にされたいわけではないが、自分がされて嬉しいことをしてやるしか術はないのではないかと考えた。

そうすることが最大限の優しさなんじゃないかと思ったのだ。

 

 

可哀想とかそういう問題ではない。

人にはそれぞれ事情がある。

現在どのような気持ちで、どのように歩もうとしているのかもさほど問題ではない。

膨大な人口の中から私を選び、助けを求めているということ。

小さな悲鳴にしか聞こえないが、本当は腹の底から精一杯叫んでいるのかも知れない。

あぁ、頭が痛いよ。

これはさっき日本酒を飲んだせい。

どのように立ち振る舞うべきかは、もう答えが出ている。

そう、多くを訊ねないことだ。

中には一から十まで理由を語らせる人もいるだろう。

それでも納得せず、手を差し伸べない人が大半かも知れない。

私は多くの人に助けられて生きてきたはずだ。

それを今一度、走馬灯のように想い出せと天は言う。

私も気づいたら助ける側の人間になっていた。

これは誰のためでもないし、私のためでもない。

ただただ、天からの指令だと思えてならない。