情熱と熱量なら誰にも負けない自信がある。
いや、違う。
圧倒的な差をつけるためには、熱量で勝負するしかないと言い聞かせているのである。
ずっとずっと頭に焼き付けていた言葉。
『埋もれたら終わりだ!』
とあるバーのマスターが私に言った言葉だ。
結婚していたこともあってしばらく連絡は取っていない。
ただ、めちゃくちゃ大切なことを言ってくれたような気がして私の記憶の中から消えることがない。
そもそも、私は埋もれたことがあっただろうか?
無名であることに変わりはないが、無名なりに目立ってきた。
埋もれるということは、私にとっては活動を止めることと同義である。
埋もれるとどうなるかと言うと、まず応援してくれている皆に失礼に当たる。
本を買って読んでくれ、投稿を読んでコメントをくれたりする皆の期待を裏切ることになる。
私の胸の中に唯一光り輝く存在を置き去りにすることになる。
そんなことができるわけない。
私は愛する男を捨て、泣きながらここまで走ってきたのだ。
がむしゃらに、一心不乱に、かっ飛ばしてきたのだ。
その全てを無にしてしまうようなことは、どうしてもできない。
そう考えたら、捨てた愛する男に筋を通すことが最も大切なことかも知れない。
何のために私はあの日あの時別れたかというと、全てはこのためだったんだと証明したいのさ。
あのまま一緒にいては、叶わぬことだったんだとね。
その想いを別れた男に届けることこそ、私の仕事。
恩人だからね。
どん底の私を地上に引っ張り出してくれた恩人だ。
そんな男を捨ててしまったのは、書くためだと言っても今となっては過言ではない。
札幌では書けない理由がそこにあるのだ。
ホームグラウンドに帰ってはならない。
私の戦場は、「ここ」なのだ。
札幌からエールを送ってくれればそれでいい。
そして読んでいるのか読んでいないのかわからないが、私の姿を見ていてくれればそれでいい。
今に見てろよ!
辻褄が合う日が必ず来るから。
あの女は、遂にやってくれた!ってね。
花の命は短い。
若さと才能はいつまでもあるものではない。
いつまでもあると思うな親と金、って言うけど私は親と金がなくなっても何とか生きていくだろう。
しかし、若さと才能が消えていくのは怖い。
これだけの熱量を誇れるのは、世界一の臆病者であるとも言える。
自分が衰えていくのを見届けるのが怖くて怖くてたまらないのだろう。
かといって若作りをするわけではないのだが、自分の過去作品に強烈な憧れがある。
熟した感性なんていらねー。
ギザギザした荒削りな感性ほど私を興奮させるものはない。
昔はよくこう言われたもんだ。
『蓮さんの文章は稚拙だ』
だから何だってんだ!
当時はめちゃくちゃ落ち込んだものだ。
稚拙な文章を大人っぽく書く練習までした。
無理矢理漢字を当て嵌めたりね。
そしたら今度は読めない漢字を使うなとか、漢字が間違えているとかね。
とにかく文句ばかり言われて育ったのが今の私。
とにかく私が生き続ける限り、書き続ける限り、埋もれることはない。
それだけではダメなんだ。
頭一つ飛び抜けていなければならない。
いやいや、そんなもんじゃない。
『出る杭は出過ぎたら打たれない』
そこまで行かなきゃダメだ。
イチローは打率にこだわったが、私は何にこだわるのか。
何を以て現役とし、どのように頂点を極めるのだろうか。
そこら中に『橋岡蓮』の名前が出回るようになるかもよ。
『答えを出すから静かにしてくれ!』
たまには私の言うことを聞けよ!
もっともっと若かったら、ポスターになりたかった。
それで若者達のカリスマ的存在になるのさ。
『ずっとずっとここでやってきたぜ!悪口陰口気にしないぜ!背中にナイフを突きつけられてもくたばらないぜ!』