雨が降っていた。
もうね、バタクソに疲れていたし寝不足だったので、ご飯食べたら即行帰りたかった。
カフェドクリエでパスタを掻き込むように食べ、煙草を二本吸って店を出た。
雨の中フードを被って、足早に駅に向かった。
乗り換えもスムーズだったが、それでも帰宅したのは二十二時前だった。
どうすればもっと早く帰れるだろうか考えたが、一つも案が見当たらなかった。
帰りにコンビニでハイボールとインスタントコーヒーを買った。
ぐっすり眠るためと、朝、寝ぼけ解消のためだ。
仕事中はずっとブラックコーヒーを飲んでいる。
だからある程度目覚めるのだが、起きかけの状態がダメだ。
片手にスマホを持ったまま、二時間ほど半分寝ているようなものである。
目覚まし時計は五時に鳴り、一旦起きるものの、何もできていないかも知れない。
それだったら寝ていたほうがマシ。
だから朝からシャキッとするためにコーヒーを買ったのである。
私の場合は、誰からも頼まれていないのに、五時に起きると決めている。
ということは、早く寝るしかないのだ。
それでもなかなか早く寝られず、少々苛々することもある。
仕事中などは、仕事のこと以外に考えられない時もある。
それでも何とか一日をやり過ごし、こなしている。
ところでとんでもないことに気づいてしまった。
ゴキブリの姿が見当たらない。
即座に、クビになったと思った。
ゴキブリだけではない。
見当たらないのが数名いる。
成績が悪いと、出勤させてもらえないのだろう。
ということは、私はまだ辛うじて生き残っている部類なのだ。
その割には数字を上げていない。
少しだけ焦りのようなものが芽生えてきた。
ここで結果を出せなければ、対面販売だろうが何だろうが、生き残れないだろう。
販売の仕事を一生続けるつもりはないが、当面の生活費を稼ぐにはこうするしかない。
おそらく私は一般的な人々のように、堅実な暮らしができないと思う。
自炊もしないので、コンビニかファミレスか外食になる。
食費はめちゃくちゃ高くなる。
酒量が減ったし、家ではほとんど飲まなくなったのが救いなのだが。
節約らしい節約もしていないので、働くしかない。
いつから私ってこんな生活を送るようになったのだろうか。
たぶん、自由の身になってからだ。
ネジが外れて、元に戻らなくなったようだ。
何やら寝不足が祟り、疲労が溜まって、精神状態もあまり宜しくはない。
様々なことに対して、自暴自棄になりがちだ。
面倒くさくなることはさることながら、苛立ち、投げやりになりがちだ。
それが仕事にも出ていて、だから数字が上がらないのかも知れない。
どこかの店で一杯引っ掛けることすら億劫なのだから、困ったものである。
次の休みも予定で埋まっている。
流石にここまで来ると、多くの人が心配してくれているようだ。
しかし、九州へ行くまであと一週間もない。
向こうでは、のんびりしてこようと思っている。
一日くらいは寝て過ごすかも知れない。
身体と心を癒やしに行くのだから、それでも良かろう。
観光はしないつもりである。
友達が、唇の怪我の薬を買って送ってくれた。
それなのに、配達業者がポストに入れてくれなかった。
持ち帰ってしまったので、再配達の不在伝票が入っていた。
私はほとんど家にいないから、受け取るタイミングがないのである。
結局、次の休みの日の夜間に受け取る設定にすることにした。
せっかく送ってくれたのに。
こういう時、不在票も不便だ。
とまぁ、相変わらず嵐のような生活を送っているのだが、何とか生きている。
まるで嵐に乗ったライダーのようだ。
疲れた身体に角ハイボール濃いめは効くよな。
一日くらい死んだように眠りたい。