nakanakadekinai's diary

単なる日記でもなければ、単なるエッセイでもない

欲望を共有できる人

頭の中はカップヌードルだった。

ビッグサイズのヤツで醤油味。

寒かったしどうしても食べたかった。

しかし、よくよく考えると、食べる場所がない。

会社の目の前がファミリーマートで、イートスペースはあるのだが、会社の人に見られたくないとか考えていたらコンビニを通り過ぎてしまった。

気づいたら、会社に一番近い回転寿司に入っていた。

酢飯って気分ではない、ジャンクフードって気分!

だが、迷っている時間もない。

仕方がないからイワシを頼んだら、なんと、吐きそうになった。

こんなに不味い回転寿司が、池袋にあるなんて。

空いている店は疑ってかかるべきだった。

安かったのが救いだが、あまりにも不味いので、エビマヨとか納豆巻きなどを頼んだ。

もう二度と行くことはないだろう。

店を出て、歩きながら考えたことがある。

手料理が食べたいということだ。

外食も飽きてきた。

もうあまり入りたい店もない。

カップヌードルが食べたくなるくらいだ。

かといって、コンビニフードも飽きたのである。

いよいよ、食に困ってきた。

私が男なら料理上手な人と結婚してしまうかも。

焼きそばや、鍋料理が食べたい。

 

 

とにかく何かを考えている余裕もないほど寒かった。

風も強く、まだまだダウンジャケットで良かったくらいだ。

調子に乗って春物のコートを着ている私だが、風邪を引くわけにはいかない。

帰ってきたら、散らかった部屋だが、何となくホッとした。

さっきまであんなに寒かったのが嘘のようだ。

コンビニに寄って、またハイボールを買ってきた。

恐らく、一缶飲めば、疲労がドッと押し寄せて爆睡できることだろう。

実は土曜日ということもあって、契約を四件も取ってきた。

周りから驚かれたが、面白いように数字が上がって気分は良い。

それなのに、やはり胸騒ぎがしたり、苛々したりしてしまう。

だから極力人と話さないようにしている。

メールやLINEは苦手出し、本来好きではないのだが、こんな時は便利だよなと思ってしまう。

相手に苛々が伝わらないで済むからだ。

会社でも、気をつけなければならない。

 

 

仕事中は、ずっと人間が本来持つ欲望について考えていた。

欲望こそ、他人と共有するのは極めて難しいものではないだろうか。

欲望が強まれば強まるほど孤独を感じるのは、理解者がいないからだ。

たまに異性で理解してくれる人が現れたりすると、好きな人だと勘違いしてしまう。

運命の人だとまで思い込んでしまう。

だけど冷静に考えると、自分の欲望に近い存在だっただけで、人生を共に歩むパートナーではないような気もしてくるのだ。

そもそも、生活を共にできる人なんて本当にいるのだろうか。

そっちの方が謎である。

焼きそばも作れないような私と、一緒に生きていきたいと思う人がいるとは思えない。

いやいや、キミさえいてくれれば、焼きそばは中華料理屋かカップ麺でいいよって言ってくれる人がいれば別だが。

しかし、どんなに欲望を共有できても、それは一時的な繋がりでしかないような気もする。

仮にめちゃくちゃ好きな人と一ヶ月間片時も離れずに居たら腹いっぱいで飽きるかも知れない。

私なら一人が恋しくなって、呼吸がしたくなって、隙を狙って逃げ出すかも知れない。

 

 

欲望を共有するのが難しい最たるものは、恐らく女友達である。

私にはとても大事な女友達が数名いるが、私の欲望について話したことはない。

同時に、彼女らの欲望についても聞いたことはない。

ただ、欲望については共有できないことに寂しさを覚えることはある。

だから、それぞれに男が必要になるのだと思う。

彼女らは、私の幸せを願ってくれている。

私の幸せとは、欲望を共有できる男か、生活を共にできる男か、両方を兼ね備えているかどれかだろうな。