寝不足で会社へ行ったら、呂律が回らず、致命的だった。
喋れないのだから、仕事にならなかった。
やはり日本酒とハイボールのチャンポンが効いたのだろう。
私って学習能力ないなぁ〜。
日本酒飲みたいなら最初から日本酒飲めばいいのに。
なんと会社で隣の席になった人が、デスクの上に分厚い小説を置いていた。
私より遥かに若い男性で、たぶん二十代だろう。
今どき、小説好きな人がいるなんて。
髪は長く、高身長でちょっとカッコいい。
だけど、若すぎる。
私の子供でもおかしくないはずだ。
最近飢えているのか、右を見ても左を見ても目がハートマークになる。
やっぱこのままコールセンター続けようかなぁ〜、なんて。
そういう理由かよ。
いやいや、どう考えてもたらい回しは辛いからだ。
この数ヶ月間辛くても、きっと慣れれば楽になることを信じてやってきたら、本当に身体が楽になってきた。
「おい、橋岡!このままここで働いていた方がいいんじゃないのか?」
一番トップの人がそう声をかけてくれた。
「そうなんです。やっと身体が慣れてきたんで」
「業務委託よりはここで雇われた方がいいよな」
どうやら部署間で私の取り合いになっているようだ。
なんだか私としては、なかなか現場が決まらないことには深い意味があるような気がしてならない。
私の人生そのものが未知であるように、神も決めかねているのだろうか?
気が短い人ならとっくにブチギレているよな。
私って短気なんだか、温厚なんだかわからない。
ただこれだけは言える。
人間って余裕が出てくると気が長くなるもんだ。
それがまた信頼にも変わって行くわけで。
私はこの仕事を始めてから、理路整然と相手を説得する力が身に付いた。
会ったこともないお客さんに物を売っているのだから、知っている人を説得できないはずはない。
そのことは私の中で大きな自信に繋がった。
文章に表れているかどうかは自分ではわからない。
しかし、エッセイの一つでも書けそうな気がする。
小説は時間がかかるが、エッセイならそうでもないだろう。
ま、来年になるだろうけどね。
今年は稼ぐ年。
だったらつべこべ言わずにドコモでたらい回しにされるべきなのかなぁ。
いやいや、それはないよな。
身体が慣れたとか言いながら、めちゃくちゃ疲れた。
時計を見たくない。
こんなに疲れるならさっきプロントで書いてくれば良かった。
やはり飲んだ後の仕事はしんどいようだ。
飲んだ次の日に飲むからだろうな。
濃いめハイボール二杯目を残して帰ってきた。
だったら一杯でやめておけばいいのに。
コールセンターの仕事をして良かったことは、やはりクソ度胸が付いたことだと思う。
鍛えれば人間って変わるものなのかも知れない。
ただ、毎日文章のようなものを書いていても、上達したなどと思ったことが一度もない。
毎日書いてはいるが、毎日出来が良くても三十点。
金をかけてもかけてもなかなか綺麗にならない私のようだ。
そんなことないよって言って欲しいのではない。
本気で伸びを感じない。
ということは、せいぜい私はこの程度なのだろうなという予感はする。
むしろ、ちょっと昔の方が、ある一定のクオリティを保つことに真剣だったような気がする。
唯一誇れるのは、書くのが早くなったこと。
この程度の文章を、昔は二時間かけていたのを今なら一時間あれば大体書ける。
ネタがあろうがなかろうが。
書きたいことが決まっていれば三十分かからない時もある。
まぁ、説得力やクソ度胸が付いただけでも少しは成長したのだと思いたい。
面白い文章など存在しないし、定義がない。
ましてや私のジョークが通じない人もいるし、ジョークが面白い文章とは限らない。
私の文章にはサビも見せ場もない。
目的は皆とのコミュニケーションを取るためだから。